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第356話

家庭医は言った。「常盤さん、確か以前に三千院さんを中絶させるようにボディーガードに指示したと記憶しています」

「うん、ボディーガードは手術室に直接送った」奏は最近、当時のボディーガードに確認した。「ボディーガードによれば、手術後、医師から術後の注意事項を伝えられたそうだ」

「その子供は中絶したはずです」家庭医は答えた。「彼女が養子にした子供があなたに似ているのは、おそらく失った子供を記念するためかもしれません」

「とわこが俺をこんなに憎んでいるのも、そのせいかもしれないか?」奏は思い悩んだ。

......

館山エリアの別荘。

主寝室。

マイクは二人の子供と共に、ベッドの上で眠るとわこをじっと見つめていた。

昨夜の午前1時過ぎに彼女に電話をかけ続けていたが、つながらなかった。

彼女が帰宅していたことに驚いたが、いつ帰ってきたのかはわからなかった。

「家の中に蚊がいるのかな?」レラが突然、小さな声で話しかけた。

マイクは部屋を見回し、「蚊はいないよ。刺されたのか?」と答えた。

レラは「蚊がママを刺したの!」と指を差しながら言った。彼女の澄んだ瞳が、とわこの首を見つめていた。「ほら、蚊がママを刺して大きな腫れができてる!」

マイクはレラが指さす方向を見て——

これは……

大人の経験から見ても、これは蚊の咬み跡ではないと判断できる。

むしろ、何らかの描写できない行為の痕跡に見える。

「よし、静かにさせよう。彼女には休んでもらおう」マイクは一人の子供を抱えながら、もう一人の子供と共に部屋を出た。「朝ごはんを食べて、今日はどこに遊びに行こうか見てみよう」

「ママが起きるまで家にいる」レラは小さな口を尖らせて言った。「ママと遊ぶのが久しぶりなの!」

蓮も頷いて、賛成の意を示した。

「わかった、じゃあ、君たちは朝ごはんを食べたら家で待ってて」マイクはあくびをしながら言った。「今日は会社で残業しなければならないかもしれないけど……でも、君たちのママが起きるまで待つよ」

蓮が尋ねた。「ママは昨夜どうして帰ってこなかったの?」

「奏の仕業だよ!」マイクはとわこの首にある赤い痕を思い出し、彼女の昨夜の行方不明が奏に関連していると確信した。「小林はるかが流産したんだ。流産って意味知ってる?」

蓮はうなずいた。

レラは首を振った。

「小林はるか
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