共有

第282話

電話は周防子遠からかかってきた。

「マイクは以前、脳に悪性腫瘍があったと言っている。重症のときは昏睡して意識を失った。最後は羽鳥教授が手術をして取り除いたんだ」周防が言った。

常盤奏は「それでも彼は、どうして三千院とわこと一緒にやることになったのか、話していないのか?」と聞いた。

「話したよ。彼はドローンが好きだと言っていた。そして三千院太郎が開発したシステムが彼女の手に渡っていた。彼はそのシステムを改良して非常に満足し、だから三千院とわこと共同で会社を立ち上げたんだ」

この答えは、完璧だった。

電話を終えた常盤奏は、レストランの中へと向かって歩き出した。

彼は田村すみれを嫌っていたが、今は小林はるかに助けを求めているので、顔を立てざるを得なかった。

レストランに入ると、小林はるかがすぐに彼の前に来て弁解した。

「奏、ごめんなさい。すみれさんとは初めて会ったの。彼女が三千院とわこの継母だとは知らなかったわ。普段、父とあまり連絡を取っていないから、事前に言ってくれなかったの」

常盤奏は彼女の説明を聞くと、大股でテーブルのそばに座った。

「小林さん、こんにちは」彼は小林健介に挨拶をした。

田村すみれについては、彼女を空気のように扱った。

「奏、こんにちは」小林健介は少し困惑した表情で笑った。「申し訳ない。僕は長年海外に住んでいて、すみれとも過去のことについて話していなかったので、あなたたちに何があったか詳しくは知らないんだ」

「大丈夫です。俺はすでに三千院とわこと離婚しました」常盤奏は淡々と答えた。

田村すみれは常盤奏が自分に不満を持っていることに気づき、考えた末に口を開いた。

「奏、過去のことは本当に申し訳ないと思っている。三千院とわこにも電話で謝罪したわ。彼女に1000億円の賠償を提案したけれど、彼女は受け入れなかった」

常盤奏は田村すみれにちらりと目を向けた。

小林はるかは驚いて言った。

「すみれさん、1000億円も持っているんですか?」

その金額は、あまりにも大きかった。

彼女は田村すみれがそんなに多くの金を持っているとは思えなかった。

その金額は、あまりにも大きかった。

「手元にはそんな大金はないが、私の会社を抵当に入れてローンを組めば、その金額を用意できるはずだ。それで誠意を示したかったが、三千院とわこ
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status