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第23話

琴音はしばらく考え込み、心の中で得失を秤にかけていた。

離縁は、利点よりも欠点の方が大きい。正妻の地位を軽視しているわけではないが、今離縁すれば、自分と守の将来の出世の妨げになるかもしれない。

彼女自身の将来ももちろん大切だ。

しかし、相手はさくらだ。あの日の対面で、その絶世の美しさを目にしたとき、胸に不快な感覚が走った。

あんな男を惑わす狐のような容姿では、いつか守がまた彼女に夢中になる可能性も否定できない。

彼女を離縁すれば、自分が正妻として入門できる。父が最初不満だったのは、平妻も結局は妾だからだ。正妻になれば、父にも文句を言う理由はなくなるだろう。

それに、誰だって正妻になりたいものだ。以前同意したのは仕方なかったからで、二人の関係は守が結婚した後に始まったのだから。幸い、二人はまだ夫婦の契りを結んでいない。

それに、あんな娇弱な貴族の娘なら、自分なりに扱えると思っていた。家の主婦になったところで何だというのか?ただ家のために走り回り、内政を切り盛りする人に過ぎない。

これは以前の考えだった。しかし、あの日彼女の強気な態度を見て、扱うのは簡単ではないと悟った。

それなら、離縁した方がいい。

琴音はすぐに頷いた。「彼女はあまりにも悪辣ね。とても我慢できないわ。あなたの言う通りにしよう。持参金については…」

少し考えてから続けた。「我が国の法律では、離縁された者は持参金を持ち出せないことになっているわ。持ち出させるのはあなたの慈悲だし、持ち出させなくても法に則っているわ。でも、これについては私から意見は言わないわ」

「持参金は、彼女のものは要らない」守は同じ言葉を繰り返した。

琴音は彼を見つめ、目に尊敬の念を浮かべた。「あなたが高潔で、彼女の持参金なんか欲しがらないのは分かっているわ。それに、大きな将軍家が、彼女のちっぽけな持参金を欲しがるはずがないでしょう?」

愛する人にそう言われ、守は心から喜んで言った。「彼女の持参金を要求しないだけでなく、この一年間で将軍府に補填してくれた分も全て返すつもりだ」

琴音の表情が硬くなった。「補填?彼女はこの一年、持参金で将軍家を補填していたの?」

守は少し恥ずかしそうに言った。「母が長年丹治先生の高価な薬を飲んでいて、将軍家の収支が合わなくなっていた。だから彼女が嫁いできてから、少し補填してく
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