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第207話

注文が決まると、さくらは影森玄武に確認させた。玄武も札を手に取って見ると、大いに喜んだ。「全て私の口に合いそうだ。これで注文しよう。尾張、給仕に注文してくれ」

尾張拓磨は「はい」と答え、札を受け取って外に出た。注文を済ませるとすぐに戻ってきた。

「内院で何があった?君の贈り物を偽物だと疑ったのか?何か嫌がらせでもあったのか?」玄武はおおよその想像がついたが、さくらの口から聞きたかった。

さくらはお茶を一口飲んで乾いた喉を潤し、答えました。「私をいじめることはできなかったようですけど、確かに私を狙っていました。でも気にはしませんでしたわ」

お珠が横から口を挟んだ。「お嬢様が最後におっしゃった言葉には驚きました。よくあんなことが言えましたね。大長公主様が報復してきたらどうしましょう」

さくらは言った。「どっちみち私と仲良くするつもりはないんだから、思いの丈をぶつけた方がすっきりするでしょう?」さくらはお珠を横目で見た。「あなたは長年私と一緒にいて、屋敷から梅月山へ、そして梅月山から都へと付いてきたでしょう。私が誰かを恐れたのを見たことがある?」

「お嬢様は昔から何も恐れないお方でした。ただ…」お珠は将軍家での日々を思い出したが、親王様の前でそれ以上は言えなかった。「もう敵に回してしまったのだから、恐れても仕方ありませんね」

玄武は興味深そうに尋ねた。「帰り際に何を言ったんだ?」

さくらは内院で起こったことと儀姫とのやり取り、そして最後に言い放った言葉まで、一言も漏らさず全て玄武に話して聞かせた。

玄武はさくらの話を聞き終えても、少しも驚いた様子はなかった。まるで彼女の性格がそういうものだと、とうに知っていたかのようだった。

万華宗の小悪魔とも言えるさくらを、誰が簡単にいじめられようか。将軍家の人々は彼女を押さえつけられたと思っていたが、実は彼女は父と兄の犠牲を思い、母の命に従って将軍家に嫁いだだけだった。北條守が戦に出ている間、家の人々を大切に世話しようと思っていただけなのだ。

彼女は決して簡単に扱える相手ではなかった。

あの年、玄武が山に登った時、さくらの二番目の姉弟子である水無月清湖がさくらに押さえつけられているのを目撃した。水無月は譲っていたわけではなく、本当にさくらに技で負けていたのだ。もっとも、水無月の真骨頂は軽身功で、武芸界で最も有名
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