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第166話

福田の言葉は、見物人たちへの巧みなお世辞に満ちていた。誰しも耳に心地よい言葉を好むものだ。福田のこの話し方で、人々の正義感が刺激され、将軍家の人々を激しく非難し始めた。

北條老夫人は、道徳的な圧力でさくらを動かすことができず、さくらが最後まで姿を現さなかったことで、今日の目的を達成できないと悟った。しぶしぶと引き下がるしかなかった。

元々は、さくらに戻ってきてほしいと思っていたが、北條守が頑として同意しなかった。琴音に関する噂があまりにも多かったため、騒ぎを起こしに来て、人々の非難の矛先をそらし、将軍家を世間の噂話から抜け出させようと考えたのだ。

どんなことがあっても、自分が大騒ぎすれば、さくらを是非善悪の渦中に巻き込めると思っていた。相手が追い払ったり手を出したりすれば、太政大臣家が正当化されることはないだろうと。

しかし、まさか理路整然とした反論や証人を呼ぶ提案が出るとは思わなかった。それらの事実は調査に耐えられるはずがない。

仕方なく、彼らは立ち去った。

さくらは正庁で茶を飲みながら、外の声に耳を傾けていた。

将軍家の本性はとうに見抜いていたので、今日の老夫人たちの言動にも驚きはしなかった。

将軍家が騒ぎに来た目的も、さくらにはよくわかっていた。琴音への注目をそらし、人々の話題を自分に向けることで琴音と将軍家を守り、さらには将軍家への同情を買おうとしていたのだ。琴音の無謀な功名心への批判を和らげるためだった。

醜い人間はこんなにも多い。すべてに腹を立てていては、日々の生活も成り立たない。

外は焼けつくような暑さだった。お珠が冷たい飲み物を作ってきて、暑さと怒りを和らげようとした。

数日間の静養で、さくらの肌は一段と白くなり、目に見えて滑らかになっていた。

さくらは笑いながら言った。「福田さんと二人のばあやにも一杯用意してあげて。火を消すのが必要なのは彼らの方でしょう」

お珠は答えた。「みんなの分がありますよ。去年、氷室にたくさんの氷を蓄えておいたので、十分にあります」

福田と二人のばあやが戻ってきた。三人とも表情は良くなかったが、部屋に入ってお嬢様を見るとすぐに笑顔を浮かべた。

福田が言った。「お嬢様、気になさらないでください。あんな厚顔無恥な連中に腹を立てる価値はありません」

さくらは彼らに座るよう促し、「怒ってなんかいないわ
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