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第57話

 「先生、本当に申し訳ありません……

 お願いですから、どうか僕の祖父を助けてください!

 全ては僕の責任です。先生が治せなくても、絶対に先生を責めたりしません……」

 拓海は歯を食いしばり、真一の前にドンと膝をついた。

 「何をしているんですか?

 早く起きてください」

 真一は驚き、すぐに手を差し伸べて拓海を助け起こそうとした。

 「先生が助けてくれないなら、立ちません」

 拓海は頑に言った。

 「これは……」

 真一は困惑した。引き受けたい気持ちはあったが、自信がまったくなかった。

 引き受けないという選択肢もあったが、相手の態度は誠実で、何よりも孝行心が見えた。

 断るのはどうにも心苦しかった。

 「仕方がない、分かりました。やれる限り試してみます……」

 真一はため息をつき、やむなく応じた。

 「本当にありがとうございます……」

 拓海は興奮して、何度もお礼を言い、ようやく立ち上がった。

 その後、真一は拓海と一緒に再び公園に戻った。

 その時、一郎の状態はさらに悪化しており、顔色は灰色がかっており、呼吸は断続的で、危うい状態だった。意識ももうろうとしており、いつ息を引き取ってもおかしくない状態だった。

 この光景を見て、真一は決して手を抜くことなく、急いで銀鍼を取り出し、天命六鍼を施した。銀鍼を一郎の胸に一本ずつ刺していった。

 「あの若者がまた戻ってきたね。本当におじいさんの病気を治せるのかしら!」

 「ちょっと難しいと思うよ。確かに先ほどの予言は当たったけど、それが本当の医療技術なのか、偶然なのか……」

 「そうだね。彼自身が言っていた通り、医療技術はほんの一部しか学んでおらず、しかも漢方医だ!」

 「こんな若い漢方医、医療技術が高いはずがないよ!」

 「その通り!現代社会では西洋医学の方が効果があるとされているし、佐藤先生ですらおじいさんの病気を治せないんだから、彼が治せるなんて可能性は低いよね!」

 ……

 見物人たちは口々に意見を述べ、ほとんどの人が真一をあまり期待していなかった。

 なぜなら、一郎の病状は非常に深刻で、最後の一息を引き取るしかなかった。真一が奇跡を起こす能力がなければ、とても治すことができないと誰もが思っていた!

 しか
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