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第61話

 その中で、佐藤先生も例外ではなかった。彼は前、真一に対して多少の不満を抱いていたが、今では真一の優れた医療技術と医の倫理に感服していた。

 少しのためらいの後、彼は真一の前に歩み寄り、深々とお辞儀をした。「秦さん、先ほど何度もあなたの医療技術を疑ってしまい、無礼をお詫び申し上げます。

 前はずっと漢方医学を見下していて、西洋医学の方が優れていると思っていました。今回、あなたから非常に生き生きとした授業を受け、多くのことを学びました。

 ありがとうございます!」

 「佐藤先生、そんなことはないです。

 あなたは医学界の先輩であり、名医です。私なんてまだまだです」

 真一はすぐに応え、気に留めなかった。

 「真一、これは私の名刺だ。今後何か助けが必要な時には、いつでも電話してくれ」

 一郎は名刺を取り出して真一に渡し、同時に彼の連絡先も忘れずに記入した。

 真一はその名刺を見て、それに書かれている「周村グループ理事長 周村一郎」という文字に驚かずにはいられなかった。なるほど、彼が一度に20億円も出せるのは、その身分が並大抵ではないからだ。

 ......

 公園を離れた後、真一は家に戻った。

 真一が外から帰ってくるのを見て、和子は不思議そうに尋ねた。「真一、朝早くどこに行ってたの?」

 「えっと、公園でジョギングをしてきたんだ......」

 彼は心の中でちょっと不安を感じながら笑い、話題を変えた。「和子、朝はたくさんの人が公園で運動してたよ。君も外に出て体を動かしてみたらどう?」

 「家にはランニングマシンもたくさんのフィットネス器具もあるのに、わざわざ公園に行く必要なんてないわ......」

 和子は少し不自然に言った。

 実は、彼女は幼い頃から一人でいるのに慣れていて、人が多い場所があまり好きではなかったのだ。

 真一は和子の目に宿る寂しさを読み取ったようで、心に痛みが走った。しかし、彼は特に何も言わなかった。

 心の中で密かに決意した。これからは和子が一人ぼっちにならないように、ずっとそばにいることにし、和子が彼を必要としなくなるまでそうするつもりだ。

 朝食を済ませた後、二人は駐車場に行き、会社に向かおうとした。

 「和子、今はこんなに暑いんだから、車よりバイクの方が風通しが良くて気持ちいいよ。バイクで送って行こ
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