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第62話

 仕事が終わった後。

 真一は江城町最大の骨董市場へと向かった。

 先祖の記録によれば、「聚霊陣」と呼ばれる陣法があり、これを使えば霊気の集まりが加速し、修行の効果が倍増するという。

 別荘の裏山には豊かな霊気があり、真一はその裏山に「聚霊陣」を設置して修行の速度を上げようと考えていた。

 ただし、この聚霊陣には玉器が必要であり、天然の玉石には霊気が宿っている。霊気が強い玉器を使えば、聚霊陣の効果もそれだけ強くなる。

 真一が今、骨董市場に向かっているのは、この玉器を購入するためだった。

 ......

 宣文骨董市場の外で。

 真一はバイクを止めるところで、少し離れたところで豪華な車のドアが開き、一組の男女が降りてきた。

 その男女は真一の元妻である露美と、その浮気相手の聡一郎だった。

 振り返ると、露美と聡一郎もすぐに真一を見つけた。

 仇敵と遭遇した瞬間、激しい緊張感が三人の間に漂った。

 「おやおや、誰かと思ったら、あの不器用な真一じゃないか!」

 聡一郎は嘲笑しながら露美の腰を抱きしめて近づいてきた。

 「真一、あんたおかしいんじゃないの?私たちもう離婚したんだから、いつまでも付きまとわないでよ!

 しかもここまでついてくるなんて、ほんとに変態!」

 露美は嫌悪感を露わにした。

 「ほんとに恥知らずだな!

 誰があなたなんかを追っているんだ、僕は買い物に来ただけだ!

 どこからそんな自信が湧いてくるんだ!」

 真一は冷ややかに露美を見つめた。

 露美に裏切られたとき、真一は確かに怒りと悲しみに打ちひしがれ、一時は恥ずかしくてたまらない気持ちだった!

 しかし、今再び露美に会っても、以前のような怒りは湧いてこない。ただの嫌悪感と、過去の自分の努力が無駄だったという虚しさだけが残っていた。

 「買い物に来たって?

 あなたみたいな貧乏人が、ここで何を買うつもりよ?

 私たちを騙せるとでも思っているの?」

 露美は笑った。

 「それはどうかな!

 露美、忘れないでくれよ。こいつはもう林家のご令嬢、和子に取り入っているんだからな!

 彼女の施しがあれば、当分の間は飢え死にしないだろうさ!」

 聡一郎は皮肉を込めて言った。

 「確かにそうね!

 でも、今回林さんを見かけないわね?

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