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第59話

 熱い拍手が起こり、見物人たちは自発的に真一に拍手を送った。彼らは真一の高い医療技術に驚かされただけでなく、命を救うために必死に努力する姿にも深く感動していた。

 「皆さん、ありがとうございます……」

 真一は少し照れ笑いをしながら言った。彼はただ最善を尽くしただけで、周りからこうした高い評価と称賛を得るなんて思ってもいなかった。

 「この若者は疲れ切っているようだが、誰か水を持っている人はいないか?」

 一郎が見物人たちに尋ねた。

 「私が持っています……」

 周りを囲んでいる人の中の若い女性が、未開封のペットボトルの水を差し出した。

 拓海は真一が力尽きているのを見て、ボトルのキャップを開け、真一に渡した。

 「ゴクゴク……」

 真一は一気に半分以上飲み干し、目を閉じて体内に残った少しの気を集め、静かに調息を始めた。

 少しの間調息した後、真一の青白い顔色が少しずつ良くなり、体力もだいぶ戻ってきたようで、彼は立ち上がった。

 「若者、僕は周村一郎って言うんだ。こっちは孫の拓海。名前を教えてくれないか?」

 一郎は笑顔で尋ねた。

 真一は微笑んで答えた。「僕は秦真一です」

 「真一、助けてくれて本当にありがとう。この恩は一生忘れない!」

 一郎は再び感謝し、続けて言った。「ただ、ひとつお尋ねしたいことがある」

 「何ですか?おっしゃってください」

 「実は、俺は長年この病気に悩まされてきたんだ。数多くの名医に診てもらったけど、みんなこれは冠状動脈性心疾患だと言って、年齢によるもので完全には治せないと言われた。

 あなたに聞きたいのは、もっとより良い効果的な治療方法がないのか」

 一郎は期待に満ちた表情で尋ねた。

 この持病はもう何年も続いていて、生活に大きな不便をもたらしている。

 本当に治ることを期待していなかったけれど、真一の優れた医療技術を目の当たりにして、佐藤先生のような名医よりもはるかに優れていると感じ、再び希望を抱くようになった。

 もしかしたら真一の神業のような医療技術で、完治する方法があるかもしれないと考えた。

 「これは冠状動脈性心疾患ではありません......」

 真一は首を振った。

 「何だって?

 冠状動脈性心疾患じゃないのか?」

 一郎は呆然とし、聞き間違いではないかと疑った。

 「
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