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第26話

 「イケメンだと思うけど……」

 和子の顔が一気に真っ赤になった。

 さっき彩香に話していたことは、親友同士の内緒話だった。

 しかし彩香はそれをそのまま真一の目の前で言ってしまった。

 和子は顔が熱くなり、どう真一に対して対応すればいいかわからなくなった。

 一方の彩香はさらに困惑していた。さっきまであの男に対して多くの期待を抱いていて、完璧な男として崇拝し始めていたのに!

 まさかその威武でカッコいい男がさっき会ったオカマ男だったなんて!

 そのショックは計り知れない!

 和子に騙された気分だった!

 和子は深呼吸し、落ち着きを取り戻してから言った。「真一、あなたを私の秘書に任命したいと思うの。どう?

 もし気に入らなければ、他のポジションに変えてもいいわ!」

 「気に入ります!もちろん気に入ります」

 真一は驚きつつも喜んで、急いで頷いた。

 和子の手配したこの仕事は、真一の想像以上に良いもので、これから和子の側で多くを学べると思うと嬉しくてたまらなかった。

 一方、彩香は「男の秘書?やっぱりオカマね」と思った。

 「あと、一つ注意しておくけど、会社には会社の規則があるの。恩があるからといって、その名を借りて会社で好き勝手しないでほしいの。」

 和子が付け加えた。

 「わかってます。しっかり働いて、期待を裏切りません」

 真一は真剣に答えた。

 和子は満足そうに微笑み、彩香に目を向けて言った。「彩香、真一は会社に新しく入ったばかりで何も知らないから、とりあえずあなたにに任せるわね。よろしくね」

 彩香は真一を一瞥し、不満そうに頷いた。

 「それと、私が真一を社長秘書に任命したのは、彼をしっかりと鍛えるためで、私との関係については他人に知られたくない。だから、あなたも言わないでね」

 和子は念を押した。

 魚を与えるよりも、魚の釣り方を教える方が良いから!

 和子は真一に特に優れた能力がないことを知っていた。だから、彼を自分のそばに置いて、彼に視野を広げさせると同時に、管理能力を身につけさせるつもりだった。

 将来、真一が会社を辞めたとしても、自分で起業するか、大企業で高い役職に就けるようにという思いからだった。

 これは、彼女が真一に対しての恩返しだった。

 「わかっている。心配しないで、私は乱暴なことは
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