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第429話

 この日々、圭介は確かにずっと海外にいた。

彼と香織の不仲について耳にしたことはあるが、確たる証拠はなかった。

本当に圭介と香織の間に隙間ができたのだろうか?

「信じられない」幸樹は容易には信じなかった。

圭介は直接電話を切った。

その態度は、香織に本当に無関心なのか?

それとも惑わせているのか?

幸樹自身も矛盾していた。

彼は香織を見つめ、「本当に圭介と喧嘩したのか?」と尋ねた。

香織は圭介が綾香のことを気にしているのを理解していた。

しかし、彼が「俺が母を殺した人と仲良くできると思うか」と言ったのを耳にすると、心が痛んだ。

とても辛かった。

彼女は感情を必死に抑え、「あなたはもう知っているのでは?何で私に聞くの?」と返した。

幸樹は彼女の痛みと我慢の様子が演技ではないと感じた。

しかし圭介は狡猾で、香織も愚かではない。

これが彼ら夫婦の連携である可能性もある。

幸樹は圭介に何度もやられたので、今回は失敗できない。

圭介が香織をどう思おうと、彼はこの女をしっかりと手中に収めるつもりだった。

そして彼は再び圭介に電話をかけた。

その頃、圭介はすでに越人と会っていた。

追跡のルートは南へ向かっていた。

彼は目を細め、誠に地図を持ってこさせた。

地図が来ると、追跡のルートと照らし合わせて、南は繁華街で行政区域もここに設置されていることが分かった。

ここは明らかに犯罪をするには良い場所ではない。

「問題がありますか?私の部下がずっと後を追っていますが……」

圭介は彼を一瞥し、「君はこれが普通だと思うか?」と反問した。

越人は地図を見つめ、数秒間沈黙した。「確かに不自然ですが……」

「何が?携帯も本人の手元にない可能性がある」誠が割って入った。

越人は焦りすぎて細かい点に気を配れなかった。

追跡がこんなにスムーズに行くこと自体が不自然だ。

幸樹は万全の準備をしているのだから、香織の携帯のことを考えないはずがない。

「追跡者に現場を押さえさせれば、真実が明らかになる」誠が言った。

越人はすぐに手配を指示した。

ブーブー——

圭介の携帯が再び鳴った。

彼は電話を見つめた。

幸樹の番号だった。

「受けないでください」誠は言った。

まだ双の位置が分からず、香織も幸樹の手中にいる。電話を受ければ、幸樹から脅迫
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