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第259話

 彩花は震えるほど怒っており、声も震えていた。「あなたがわざとやったのよ、だから無理」

 体育センター全体がこんなに広いのに、彼女一人で二日かけても無理だし、そんな恥をかくわけにはいかない。これからどうやって職場に居続けられるだろう?

周りの人たちは彼女をどう見るだろう?

彼女が香織を陥れようとしたのは、まず香織が彼女を利用したからで、彼女は簡単に信じてしまい、その結果幸樹を害してしまった。この恨みはどうしても晴らせなかった。元々は香織を困らせて、恥をかかせるつもりだったが……

彼女は何度も香織を絞め殺したい衝動に駆られた!

香織が彼女に近づいてきた。「会場を拭かせないでおいてあげるから、正直に私の質問に答えなさい」

「どんな質問?」彩花は他に選択肢があると聞いて、まだ回避できる余地があると考えた。

「翔太にメッセージを送ったのはあなた?佐知子はあなたが刑務所から出して隠したの?」香織は尋ねた。

彩花は驚いた表情で、「翔太って誰?佐知子って誰?」と答えた。

香織は目を細め、彼女が嘘をついているかどうかを観察した。「とぼけるな」

「なぜ私がとぼける必要があるの?」彩花は本当に全く知らない様子だった。「翔太と佐知子が誰かも知らないし、彼らを捕まえて何の得があるの?」

彼女は認めず、香織も彼女の顔に何のヒントも見つけられなかったので、しばらく手詰まりになった。

「認めないなら、約束を守って、会場全体をきれいに拭きなさい。皆が証人だから、言ったことを守らなければいけないわよ」

そう言って香織は会場を後にし、スタッフに「時間も遅いし、時間を無駄にせずに、すぐに生徒たちに最後の試合をさせてください」と伝えた。

今や誰でも何か裏があると気付くだろう。

すべては彩花が香織を陥れようとした結果、逆に自分が陥れられたのだ!

彩花の心はほぼ崩壊していたが、表面上はまだ必死に平静を保とうとしていた。

彼女はこの失態の笑い者になってしまった。

顔は恥ずかしさで赤く染まり、

香織への憎しみがますます強まった。

しかし、それでも耐えなければならなかった!

試合が終わると、香織は自分の得点カードをその男性審査員に渡し、「用事があるので先に失礼します。これ、よろしくお願いします」と言った。

男性審査員は喜んで「安心して、任せてください」と答えた。

香織は
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