第6話

私が守っていたおかげで、彼女の傷はそれほど重くなかった。

彼女はレースのナイトウェアをまとい、牛乳を手に持って兄のそばに来ると、親しげに兄の腕に絡みついた。

兄は苛立ち、彼女の腕から自分の手を引き抜くと、鋭く彼女を睨んで言った。「出て行け。雪奈はお前なんか見たくないんだ」

彼女は俯き、悲しげに自分の腕を見つめ、涙声で「兄さん......雪奈はもういないのよ。どうしてそんな人のために、自分を傷つける必要があるの？」と呟いた。

「両親が言ってた。兄さんが雪奈を部屋に置いているせいで陰気が溜まるから、明日、彼女を田舎に連れて行きたいって。

田舎は環境もいいし、風水も最高だもの。雪奈のような疫病神の運命を持つ者は、田舎の風水でなければ鎮められないのよ」

疫病神の運命─

この五文字のせいで、私は十数年もこんなひどい生活を送ってきた。

彼らはいつも「田舎の景色がいい」と言い、毎年夏休みには私を田舎に送り込み、そこで一夏を過ごさせていた。

だが、私は田舎が好きではなかった。そこには、もう親族も誰もいなかったからだ。

唯一知り合いだったのは、おじいさんだけ。でも、おじいさんもすでに寝たきりになっていた。

小さいころは、両親が私に苦労をさせるために田舎へ送っているのだと思っていたが、高校に入ってから、彼らと小夏が何を企んでいたのか気づいた。

高校二年の夏休み、私はまた両親によって田舎に送られた。そのとき、彼らは私を「古くからの知り合いの家」に預けたのだ。

その家には三十歳を超えた未婚の息子がいて、少し頭が弱そうだった。

両親が去った後、その家の主人は彼の息子に私に手を出すように促し、「お前は両親に売られたんだから、息子の嫁として従え。従わないなら、従うまで殴ってやる」と言った。

その言葉を聞いたとき、私は思わず笑ってしまった。私は両親に十年近くも苦しめられてきた。この間に学ばなかったとしたら、それこそ無駄な人生じゃないかと。

その夜、私はすぐに警察に通報した。両親が来たとき、二人の顔は青ざめていた。

彼らは私を車に押し込み、母は道中ずっと私を責め立てた。「お前は本当に親の気持ちがわかっていない」と言いながら。

私は反論した。「じゃあ、どうしてあの子をここに送らなかったの？」

母は私を睨みつけ、「お前なんかが、あの子と比べられると思ってるのか」と罵