共有

第3話

「雪奈......目を覚ましてくれ。眠っちゃだめだ。兄さんが絶対に助けてやるから......」

兄は私の遺体を抱え、警察の制止を無視して車の方へと狂ったように走った。

彼はそっと私を助手席に座らせ、震える手で何度もシートベルトを留めようとした。

しかし、私はすでに息絶えており、体中の骨が砕けてしまっていて座っていることもできなかった。

兄は血まみれの私を抱きかかえ、歯を食いしばって涙声で言った。「雪奈、言うことを聞いてくれ。兄さんがシートベルトをちゃんとつけたら、すぐに病院に行くからな。

どんなにお金がかかっても、兄さんが絶対にお前を助けるから」

兄は車をまるでレーシングカーのように飛ばし、いくつもの赤信号を無視して、病院までわずか二十分足らずでたどり着いた。

彼の白いシャツは私の血で真っ赤に染まっていた。

兄は病院の入り口で大声で叫んだ。「誰か、妹を助けてくれ!助けてくれ......」

医師たちは私を見て困惑の表情を浮かべ、兄に対して遠回しに、私はすでに亡くなっており蘇生の必要はないと伝えた。

しかし、兄は狂ったように医師の襟を掴み、まるで助けなければその命を奪うかのような凄まじい表情で医師を睨みつけていた。

医師たちは怯え、私を手術室に運び入れ、粉々になった私の体を縫い合わせた。

手術室から私が運び出されるとき、ちょうど別の手術室から小夏が運び出されてきた。

小夏を見つけた両親はすぐさま駆け寄り、彼女の手をしっかりと握りしめた。

母は小夏を見つめながら、胸を痛めて再び泣き出していた。

そして、私のそばには兄だけが残っていた......

兄は俯いて私を見つめていたが、医師は新しい白いシーツを持ってきて「どうか、ご冥福をお祈りいたします......」と告げた。

「もう一度言いますが、雪奈は死んでいません。もしここで治療できないなら、他の病院に行きます。どこかに彼女を治してくれる病院があるはずです」

「京介、雪奈はもう安らかに眠らせてやろう」と父は悲しげな顔で、傷だらけの私に目をやりながら兄の腕に手を置いた。

「言ったはずだ。彼女は死んでいない。死ぬべきだったのはあの子だ、あの子がいなければ雪奈が死ぬことはなかったんだ......」

兄が私以外の誰かにこんなにも激しく怒るのは、これが初めてだった。

家では、あの子に対しては沈黙
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status