第307話

翌日、太陽はいつも通り昇り、ネット上の噂は依然として飛び交っていた。

会社の何人かのガキたちも、私を見る目に少し好奇心が加わっていた。

河崎来依は昨夜、私の家に来て、バッグと携帯を返してくれた後、また一通り自責の念をぶつけてきた。

彼女はすぐに警察に届け出たが、他の人が藤原家と聞くと、皆逃げ腰になってしまった。要するに、確たる証拠がないと、何もできないということだった。

彼女は、初めて本当に権力の恩恵と、一般人の無力さを実感したと言った。

更に、早くに伊賀丹生と別れなければよかった。たとえ愛人でも、昨日私が危機に陥った時に助けを求めることができたのになどと言っていた。

まったく、馬鹿な子だった。

今、彼女は二杯のコーヒーを持ってオフィスに入ってきて、一杯を私の前に置き、もう一つの椅子を引いて座った。

彼女の表情は昨晩とほぼ同じだった。

私は服部おばあさんのデザイン画を描きながら、疑問を呈した。「どうしたの？誰かにいじめられた？」

彼女は一瞬ためらってから、一言言った。「江川グループが破産を宣告した」

私の手の中の画筆が、描くべきでない線を引いてしまい、私は一瞬呆然となった。

「破産？」

昨日、藤原家と婚約したばかりなのに、今日は破産？

何の前触れもなかった。

「うん、資金繰りが破綻した」

河崎来依は頷いた。「5分前に発表されたニュースで、藤原家はすでに呆然としてると思う。誰かが低価格で株を買い取るために出てきた。この大きなケーキを誰もが食べたいと思ってる。江川宏は......すぐに何もなくなるだろう」

私は携帯を取り上げ、彼女が言ったニュースを探したが、ほんの少しの時間で、すでにネット上は爆発していた。

江川グループの破産は、何を意味するのか、鹿兒島は変わてしまうかも。

では、江川宏はどうなるのか。

彼はピラミッドの頂点に慣れ親しんできたが、そこから落ちてしまった......

私は眉をひそめ、事態はそんなに単純ではないと感じた。「どうして突然破産したの？」

「どうやら、ある開発プロジェクトが大半の資金を飲み込んでしまったが、いまだに成果が見えてない......最近の一連の出来事とも相まって、多くの協力が途中で破綻し、資金繰りが回復できなかった」と河崎来依は言った。

「それにしても変だ」

感情面では、私と江川宏の間にはも