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第312話

私は、山名佐助がすぐに快く応じると思っていた。

しかし、向こうは死んだように静まり返り、少ししてから彼は軽く咳をした。まるで誰かのプレッシャーを受けているようだ。「清水社長......株を売りたいと思ってるのか?手元に置いておくことは考えないのか?」

「はい」

河崎来依は笑いながら答えた。「元夫からもらったものを手元に置いても意味がない。縁起が悪いし、金に変えた方が確実」

「うっ......」

山名佐助は何かにむせたように咳をし、クリアな音が響いた。

何かを落としたのか、誰かが怒ったのかもしれなかった。

山名佐助は気を取り直して口を開いた。「ええ、実は、現在株の買収を一時停止した。一つアドバイスがある。株は手元にしっかり持っておいて、3ヶ月以内に、江川グループが最も盛況だった時よりもさらに価値が倍増するよ!」

河崎来依は半信半疑で、聞いた。「こんな短期間でそんなに増えるの?」

「間違いなく、さらに多くなるかも」

山名佐助は非常に確信を持った返事をした。「清水社長をしっかり説得して、誰が買おうとも売らない方がいい」

「わかった、了解した」

河崎来依は目を輝かせ、感謝の言葉を一通り述べてから電話を切った。

彼女は疑いの眼差しを向けた。「彼が自慢している部分があると思わない?」

私は首を振った。「......そんなことはない」

RFがこの厄介な状況を引き受けるなら、十中八九成功するだろう。

結局、江川グループには他に足りないものはなく、ただ資金が不足しているだけだ。

資金さえあれば、再生は可能だ。

しかし、山名佐助がどうしてそんなに親切なのか、私の株を買うどころか、売るなとまで言うのは不思議だった。

なんかおかしいんだ。

彼の行動は、私にお金を渡すのと同じで、商人としては、過剰な親切だった。

......

鈴木靖男と春のデザインを終えた後、服部おばあさんと藤原おばあさんのオーダーメイドも無事に終わった。

私は連続して半月間働いた後、ようやく少し休むことができた。

その日、久々に寝坊して、朝食を取る暇もなく、河崎来依から電話がかかってきた。

「南、今日は休めないよ」

「何があったの?」

私は温水を注ぎながら尋ねた。

河崎来依は言った。「RFの方から突然知らせが来たの。最近、彼らのボスが時間が空いたので、国内に投資してる
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