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第311話

私の頭の中は一瞬真っ白になり、反応が戻った後、私は笑った。「この目に見惚れたの?」

身代わりか。

興味がある人がやればいい、私はそうする気はないんだ。

「そうじゃないけど」

彼はそう言いながら、相変わらずドアの枠に寄りかかっていた。「代わりの彼女だけだ。その代わり、江川宏に対処するのを手伝える」

私は彼を見返し、何を求めているのか理解した。「それで、私はどうするの?あなたに何を約束しなきゃいけないの?」

得がなければ動かないのが彼の本性だから。

彼は得意げに目を細めた。「わかってるな。今年の正月、俺の家に帰って、親に対処してくれ」

「......」

「損はないよ」

服部鷹は微笑みながら言った。「お前一人じゃ、彼を相手にするのは無理だ」

彼が言う「彼」とは、もちろん江川宏のことだ。

「考えてみる」

私は適当に返事し、家のドアを閉めた。

......

江川グループの破産は、鹿兒島の上流階級を混乱させた。

みんながこの機会に何か得ようと躍起になっていた。

その日、会議を終えてオフィスに戻ると、河崎来依が何かを思い出したように急に言った。「そういえば、南が持ってる株を買おうとする人はいた?」

私は少し驚いて、尋ねた。「何の株?」

「南が離婚したとき、江川宏が無理やりに渡した10%の株のことだ」

河崎来依は興味津々に聞き、続けた。「今は買収価格がかなり低いけど、売ってしまう方がいいだろう」

「いいえ」

私は首を振った。

本当は、機会があれば株を彼に返そうと思っていたが、適当なタイミングがなかった。

昨夜の騒動の後、すっかりそのことを忘れてしまった。

しかし不思議なことに、RFは今まで私の株のことについて聞きに来なかった。

オフィスに入ると、私は聞いた。「江川宏は自分の株を売ったの?」

「とっくに売ったよ」

河崎来依は唇を噛んで言った。「彼は一番早く手放したんだ。彼がいる限り、株主は何があっても手放すことはないだろう。結局、江川グループがこうなったのは、彼の功績が大きいから、みんな盲目的に信じている」

これは真実だった。

私は江川宏が本当に江川グループをあっさり放棄するとは信じられなかったが。

最近の経済ニュース毎日には江川グループが破産に近づいていることを報じていた。

今日、RFグループの副社長も山名佐助が正式に
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