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第295話

服部花はまったく怯まず言い放ち、私と河崎来依は目を見合わせて驚いた。

我に返った私は、藤原奥さんが彼女に手を出さないかと心配で、急いで服部花を自分の後ろに引き寄せた。

「何かあれば、私に言いなさい」

「お姉さん!」

それでも服部花は少しも怖がらず、藤原奥さんを見据えて言った。「服を要らないって言ったよね?じゃあ、藤原星華を出てこさせて、もう試着しないで」

「ふん!」

藤原奥さんは冷笑し、軽蔑しきった表情で言った。「バカなことを言ってるね。ただの従業員のくせに、その言葉、お前の上司が認めるの?このドレスがいくらか知ってるの?」

「私が買うよ!」

服部花は頬を膨らませ、その一言を堂々と投げかけた。

彼女の吹いた法螺に、私は何も言わなかった。

藤原奥さんは顔を真っ赤にし、怒りで震えながら私に向かって言った。「清水南、これはお前の意見なの?」

「もし気に入らないのであれば、確かにそういう方法もありますね」

私は微笑んで、穏やかに答えた。

藤原奥さんは歯を食いしばり、服部花を睨みつけた。「本当に買えるのか?このドレスは二千万以上するのよ!」

「二千万くらいでしょ。おばさん、もしかしてお金がないのか?」

服部花は不思議そうに藤原奥さんを見て、「そうじゃなかったら、ただ二千万のものをそんなに大袈裟に話す必要がある?」

「貴様......!」

藤原奥さんは怒りで顔が真っ青になり、手を振り上げ、彼女の顔を打とうとした。

私は止めようとしたが、私よりも早く動いた人がいた。

私たちの後ろから、服部鷹が現れ、藤原奥さんの腕をしっかりと掴んで止めた。彼は目尻を下げて言った。「おばさん、俺の妹が何か失礼をしたなら、俺に言ってください。俺がおばあさんに彼女をきちんと教育させるから」

私は驚きで目を見開き、彼と服部花の間を何度も見比べた。

服部花が言っていた兄は、彼だったの?!

藤原奥さんはその場で凍りつき、顔はひどく苦々しく歪んだ。「あなた......彼女があなたの妹だって?冗談でしょ?服部家で彼女を見たことなんてないわ」

服部鷹は返事をせず、ただ黙って携帯を取り出し、ビデオ通話を始めた。

向こう側はすぐに応答し、服部おばあさんの顔が映し出された。

「ふん、やっと時間ができておばあさんに電話してくれたの?」

服部鷹は気怠そうに眉を上げた。「いや
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