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第298話

身を横にして彼を中に入れ、靴を履き替えながら、思わず尋ねた。「私の出身について......何か分かったの?」

彼は一瞬戸惑い、その後すぐに笑みを浮かべた。「どうして急に当たったの?」

「どうなの?」

私は待ちきれない気持ちだった。

両親が亡くなってもう何年も経っているが、私が本当に彼らの子供なのかどうか、それは私にとって非常に重要だった。

彼はソファに座り、資料を私に差し出し、ため息混じりに言った。「やっぱり赤木邦康の言うことは嘘だったんだ。もうこのことは考えないで、そうでないと叔父さんと叔母さんも天国で悲しむだろうから」

その言葉を聞いて、私はずっと抱えていた不安が少し和らいでいった。資料をめくり始めた。

私の出生証明書、子供の頃からの診察記録、血液型、誕生日......

全てが一致していた。

一つ一つ確認するたびに、私の心は少しずつ安らいでいった。

最後は完全に安心した。

間違いないんだ。私は本当に両親の子供で、彼らの愛情は決して偽りではなかったんだ。

「先輩、ありがとう!」

感謝の気持ちでいっぱいで、私は彼に笑顔を向けた。「夕飯はもう食べた?冷蔵庫にまだ材料があるから、何か作ろうか?」

「もう食べたよ。夜、付き合いがあって遅くなったから、こんな時間で来たんだ」

彼は断って、少し不満そうに言った。「でも、南、約束を破ったんじゃない?」

「え?」

私は気が付かなかった。

彼は口角を上げて言った。「俺とそんなに他人行儀にしないって、約束したじゃないか?」

「ごめん......」

もう慣れってしまったかも。

琥珀色の目で真剣に私を見つめながら、彼は言った。「謝る必要はないよ。少しずつ直していけばいい。友達でも、それ以上でも、俺は南がそんなに遠慮してほしくないんだ」

「分かった」

私は笑顔で同意し、しかし彼の目に一瞬映った優しさに驚いて、視線を慌ててそらした。

でも、彼はそれ以上何もしなかった。「もう遅いから、そろそろ帰るよ」

私はすぐに立ち上がった。「送るよ」

「南と服部鷹、どんな関係なの?」

玄関に向かう途中、彼は突然話を切り出した。

私は疑問に思った。「彼と?」

彼は私をじっと見つめた。「南と彼、なんだか違う感じがするんだ」

「そんなことないよ」

私は不思議に思った。「ただの友達だよ」

それとも、友達
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