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第205話

「聞いた話だと、服部鷹が鹿兒島に来たのは、昔の婚約者の手がかりを探すためだそうだ」

「意外だね、彼がそんなに一途な人間だなんて」

私は少し驚いた。山田時雄と同じように、幼い頃に出会った人に執着する人がいるなんて。

何年もかけて、それを貫き続けた。

山田時雄は微笑み、何も言わなかったが、ただ「明日家にいるかい?仕事が終わったらプレゼントを持って行くよ」と言った。

「プレゼント?」

私は一瞬考えた後、彼が昨晩言っていたことを思い出して頷いた。「うん、多分、ここ数日はずっと家にいるよ」

......

次の日、私は自然に目が覚めるまでぐっすりと寝ていた。空っぽのベッドの片側を触った。

河崎来依は見当たらなかった。

私は携帯を手に取り、彼女が送ってきたlineメッセージを見た。【帰っちゃったわ。もし伊賀丹生がまた何かおかしなことをしたら、また頼むかも】

【薄情者、私を寝かせた後に逃げるなんて】

私は笑いながら返信し、ベッドにだらんと横たわって携帯をいじっていた。

江川アナと江川文仁のこと、それに彼女と江川温子が役所で互いに激しく争ったことが江川グループに大きな影響を与え、株価が数ポイントも下がり、さらなる下落の兆しさえあった。

批判の声は依然として止まず、それが服部鷹によってどれだけ加速されたかは想像に難しくなかった。

この状況では、そいつらはマスクをせずに外に出ると、追いかけられて殴られるかもしれなかった。

「江川奥様!VIP病室で家族と患者が口論して、もう殴ってるんです!」

午後に差し掛かったころ、聖心病院のナースステーションから電話がかかってきて、そう告げられた。

私は頭が一瞬ズキンとしたが、車の鍵を掴んで急いで出かけながら、「どうして殴り合いになったの?今すぐそっちに向かうわ!」と焦りながら言った。

病院に着くと、すでに警察が到着しており、病室の内外に大勢の人が集まっていた。

「あなたは患者さんのどなたですか?」

私が入ろうとすると、警察官に尋ねられた。

私はすぐに「姪です。彼女は私の叔母さんです」と答えた。

「いいでしょう、入りなさい。しっかりと説得してください。夫婦喧嘩でも殴り合うことはないんですから」警察官が言った。

赤木邦康は頭を下げて、「その通りです。もう二度とが殴りません」と言った。

私は彼を無視して、叔母
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