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第209話

自殺?

自殺って、この母娘の得意技なのか。

代々受け継がれるものなのか?

自分でもどういう気持ちからなのか分からないが、つい聞いてしまった。「一緒に行っく?」

もしかしたら、真偽を確かめたいと思ったかもしれなかった。

または、万が一何か本当に起きた場合、江川宏のそばに信頼できる人が誰もいないのが怖いと思ったかもしれなかった。

江川宏は驚いた顔で私を見て、尋ねた。「いいのか?」

「行こう」

私はバッグを取り、彼と一緒に病院へ向かった。

病院に到着した時、江川温子はまだ救急室から出ておらず、江川アナと江川文仁が外で待っていた。

この場面を見て、私は笑いが込み上げてきた。

でも、こんな緊張した時に笑うのはおかしいので、今までの人生で悲しかった出来事を一通り思い出した。

江川宏、江川アナ、江川文仁、そして救急室の中の江川温子。

この四人の関係図を描くなら、蜘蛛の巣のようにぐちゃぐちゃだった。

江川アナが急に飛び出してきて、私を押しのけて非難した「清水南、何を笑っているの?私の母が大変な目に遭っているんだ。それが嬉しくて、わざわざ見物に来たか?」。

そう、私は笑いを堪えようとしていたが、結局抑えきれなかった。

ただし、私は江川宏の半歩後ろにいたので、彼はそれを見なかった。

その時、彼は私をかばい、顔を険しくして冷たく言った。「狂ってるのか?南は俺が呼んで来たんだ」

「宏......」

江川アナと江川文仁の件が露呈して以来、江川アナは江川宏に対して以前のように強気に出られず、涙を流しながら言った。「なんで彼女を呼んだの?もし彼女が私の母をあんなに刺激しなければ、母は自殺なんかしなかったはずよ!」

「私が刺激したって?」

私は一歩前に出て、冷静に言った。「すべてはお前たちの自分で選んだことだ。役所でお前の母親を罵り、突き飛ばしたのはお前だよ。私には何の関係もないわ」

「この......!」

江川アナは言葉に詰まり、江川宏の前では言い返すことができず、ただ私を怒りの目で睨んでいた。

江川文仁は、彼の愛人を思いやり、憤慨して言った。「南、かつてはお爺さんがいた時、お前はもっと優しくて善良だったのに、どうして今はこんなふうになってしまったんだ?江川家をそんなにめちゃくちゃにしたいのか?」

責任転嫁の達人だったな。

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