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第103話

じっと見つめた。

一枚は私と山田時雄が一緒にコンサートを見ている横顔の写真だった。

もう一枚は退場時、彼は手を肩にかけたまま背中を見せている写真だった。

それを見て、突然理解した。だからあの日、人にぶつかれそうになって以来、もう誰にも押されたことがなかった。

山田時雄の手がずっと後ろで守ってくれたんだ……

私は泣くに泣けず笑うに笑えなかった。「この人は想像力と論理的思考能力がかなり優れているね」

「山田時雄が南にそんなに気を配っているから、他の人が勝手に考えるのも仕方ない」

河崎来依は言った。「私から見れば、彼は江川宏よりも信頼できる」

「適当なことを言うな」

私は熱いお茶を一口飲んだ。「彼には好きな人がいて、しかも長年好きだ」

「誰が好き?なんで連れてきてくれないの?」

「知らない。追いついたら連れてくるんじゃないかな」

山田時雄が既婚者を好きなことについては黙っている。

やっぱり彼のプライバシーだし、少し……悪いことだから、知らないほうがよかった。

江萊は唇を尖らせて言った。「本当に、君たちは相性がいいと思ってたのに、意外と私が考え過ぎたわ」

「来依、まだ既婚者なんだよ。心配するなら、少なくとも離婚するまで待ってくれない?」私は笑った。

「いいよ。いいよ」

江萊は食事に没頭し、食べ終わると私を連れて買い物に行った。食後の消化にね。

エスカレーターに乗っている最中、専門店の前にたくさんの人が囲んでいた。

江萊は見世物好きだから、私を引っ張って行って、囲んでいる男に聞いた。「すみません、ここで何を見てるの?」

男は河崎来依の容姿に驚かされ、「この専門店には、おそらく妊婦の顧客がいて、他の人が事前に予約したバッグを必ず欲しがっている」と熱心に言った。

「……こんなに変なの?」

河崎来依は彼にお礼を言った後、専門店に顔を突っ込んで、すぐに馴染みのある声が聞こえてきた。「私が誰か知らなくてもいいけど、鹿兒島の江川家までも知らないの?このバッグを誰が予約したのか教えて、私が連絡するわ」

女性の声は美しく、口調はまあまあ優しく、しかし優越感が漂っている。

「まさか、またこいつかよ」

河崎来依は彼女を見つけ、不機嫌そうな顔をして言った。「もういい、行こう。彼女に出会ったら何か悪いことが起きるに決まっている」

「うん」

私も江
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