第80話

月曜日の朝、由佳は早起きして洗顔し、病衣を脱いで普段の服に着替えた。朝食を済ませた後、病室で山口清次が来るのを待っていた。

朝からずっと待っていたが、彼が病院に来たのは午後だった。

「遅れてごめん、午前中はちょっと用事があって。」

由佳は微笑んで首を振り、立ち上がって外に向かって歩き出した。「大丈夫、今でも遅くないわ。」

山口清次は彼女の焦っている顔

を見て、心の中で不快感を感じた。「離婚することがそんなに嬉しいのか？」

由佳は胸が痛むのを感じながらも、笑顔で答えた。「そうよ、とても嬉しいわ。やっと解放されるのだから。」

解放される。

由佳が自分の心情を「解放される」と表現したことは、この結婚に非常に失望していたことを示しているのだろう。

山口清次の顔色が少し暗くなり、淡々と言った。「おめでとう。」

「行きましょう。」由佳は彼を見た。

「うん。」

山口清次は振り返り、病室のドアを開けた。

ドアの前には二人の警官が立っており、ちょうどノックしようとしていた。出てくる山口清次を見て、女警官が驚き「ここは由佳さんの病室ですか？」と尋ねた

この人、山口清次にそっくりだわ。

「そうです。」

「私は由佳さんの事件を担当している警官です。現在、警察署は二人の犯罪容疑者を逮捕しましたが、彼らは事前に計画を立てたことを否認しています。由佳さんに再度話を伺い、見落としがないか確認したいと思います。」

「どうぞ。」山口清次はドアを開け、彼らを通した。

由佳はドアの音を聞いて、ソファーを指しながら言った。「どうぞお座りください。お手数をおかけします。」

保姆がすぐに二人の警官に水を準備した。

山口清次は由佳の隣に座った。ソファーに寄りかかり、足を組んで落ち着いた様子でいた。

山口清次には生まれながらにして圧倒的な威厳があった。

彼がそこに座ると、若い警官たちは少し緊張した様子を見せた。

「この方は？」と男性警官が尋ねた。

「由佳の夫です。」山口清次が答えた。「妻がどうして事故に遭ったのか、私も知りたい。どうぞお聞きください、邪魔はしません。」

女警官は驚いた。本当に山口清次なのではないか。

見れば見るほど彼と似てきた。

そして、隣の由佳を見て、昨日由佳の名前を聞いた時にどこかでその名前を聞いたことがあると思った原因が分かった。Twitter