第84話

空はすでに暗くなっていた。おばあちゃんは山口清次に向かって言った。「清くん、ここで待っていても無駄よ。由佳ちゃんの頭にも怪我があるし、二人は家に戻りなさい。おじいちゃんが手術室から出たら、翔くんが電話をするわ」

　「いやだ」由佳はすぐに断って、おばあちゃんの腕を取った。「おばあちゃん、私は帰らない。一緒にここで待ちたい」

　おじいちゃんがどうなるかに関わらず、手術終わった後、彼女はおじいちゃんに会いたかった。

　「おばあちゃん、私たちも一緒にここで待つ」山口清次も言った。

　おばあちゃんは二人が固く決意しているのを見て、もう何も言わなかった。

　さらに二時間が経過し、手術室の赤いランプがついに緑に変わった。

　山口由佳、山口清次、山口翔、おばあちゃんは同時に立ち上がり、手術室の扉の前で医者が出てくるのを待った。

　手術室の扉が開かれた。

　「お医者さん、おじいちゃんの状態はどうですか？」山口清次がすぐに尋ねた。

　今この瞬間、彼の声はかすれ、微かに震えていた。

　由佳は目を赤くしながらお医者さんをじっと見つめ、両手を胸の前で組んだ。

　お医者さんはマスクを外し、「手術は成功しました。重症患者用の病室で二日間様子を見て、問題なければ普通の病室に移します」

　由佳の顔にはようやく笑顔が浮かび、瞬きする間に涙がこぼれ、心が落ち着いた。

　「ありがとうございます」

　その後、おじいちゃんは病床に横たわったまま重症患者用の病室に運ばれた。

　由佳はおじいちゃんがベッドで動かずに横たわっている姿を見て、心が痛んだ。

　数日前まではおじいちゃんは元気に彼女と将棋をして笑っていたのに、今ではこのような姿になってしまった。

　由佳たちは一緒に重症患者用の病室へ向かった。

　医者は「患者は今安静が必要です。家族の方は静かに待ってください」と注意を促した。

　「ええ、ありがとうございます」おばあちゃんが言った。

　「どういたしまして。何かご用があればおっしゃってください。私はこれで失礼します。」

　医者が去った後、おばあちゃんは言った。「今、おじいちゃんは無事だから、安心しなさい。こんなに長い間待っていたから、戻って何かを食べてね」

　「おばあちゃんも長い間待っていたので、しっかり休んでください。おじ