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第381話

由佳は直接にキャットフード、猫砂、猫缶を車に積み込んだ。

由佳は後ろをそっと振り返ったが、清次が追ってこなかったのに気付いた。

彼女は少し安心したが、同時に言えない寂しさを感じた。

運転席に座り、しばらく沈黙してから、スマホを取り出して林特別補佐官に電話をかけた。

正直に言うと、由佳からの電話に林特別補佐官は非常に驚いていた。

彼は慎重に電話を取った。「もしもし、由佳?」

「林特別補佐官、ちびはどの動物病院にいますか?」

ちびって誰?

なぜ由佳はこのことを尋ねているのか?

林特別補佐官は、電話での清次の奇妙な言葉を思い出し、数秒間考えた後に答えた。「申し訳ない、由佳。急に用事があって、ちびは助手に預けたんだ。今、どの動物病院にいるか分からないんだ」

由佳は急に口がきけなく、何を言えばいいのか分からなかった。

その瞬間、由佳は清次がちびを殺してしまい、ただ言い訳をしているのではないかと疑った。

林特別補佐官は続けた。「そうだ、助手に確認してから、後で連絡するよ」

そう言って、林特別補佐官は電話を切り、すぐに清次に電話をかけた。

清次からの指示を受けた後、林特別補佐官はすぐに由佳に折り返しの電話をかけた。

由佳は電話に出ると、すぐに尋ねた。「ちびはどこにいるの?」

「申し訳ない、由佳。助手に電話が繋がらなかった。電話が繋がったら、必ず確認するよ」

由佳は何の情報も得られず、空っぽのまま帰ることになった。

彼女は仕方なくため息をつき、車を発進させて銀行へ向かい、高村に振り込みをすることにした。

七百万円以上は少なくない金額のため、銀行のスタッフは由佳をVIPルームに案内し、マネージャーを呼びに行った。コーヒーも出された。

由佳はコーヒーを一口飲み、スマホの画面を確認すると、LINEのメッセージに気づいた。

それを開くと、颯太からのメッセージだった。

どうやら颯太は、高村が帰国するという投稿を見たらしい。彼は由佳にこう聞いてきた。

「姉さん、帰国したんですか?今、僕も虹崎市にいるんですけど、時間があれば一緒にご飯でもどうですか?」

上にスクロールして、颯太は以前送ってきたメッセージがあった。彼は由佳にどこで遊んでいるのか、いつ帰国するのかを尋ねていたが、彼女は返事をしていなかった。

今回は、由佳は返事を送った。「ごめんなさい
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