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第30話

「できたら」山口清次が言った。

「歩美さんはどうしたんですか?」由佳が勇気を振り絞って尋ねた。

彼女は心の中で、山口清次が今回戻ってこないかもしれないという予感を抱いていた。昨日と同じように。

加波歩美が彼を呼び出した理由は何だろう?しかも二日間連続。

山口清次は彼女を振り返り、眉をひそめて言った。「由佳、前はこんなこと聞かなかったね」

由佳の顔色が一瞬悪くなった。「足がとても痛いんです、あなた、お願い……」

「君の足の怪我はそんなに重くない。何かあれば家政婦を呼べばいいよ」

山口清次の口調が冷たくなり、彼は振り向くことなく行ってしまった。

由佳は彼の背中を見つめて、心の中で苦しみを感じた。

彼女はめったに自分の硬い殻を剥がさなかったが、この際、柔らかさを見せたのに、彼は彼女をおせっかいだと言った。

人があなたに興味を持たないとき、あなたがどれだけ弱いところを見せても意味がない。

彼らはすでに離婚を決めており、彼女はどうして干渉する権利があるのか?

彼女がバカなことしてしまったのは、山口清次が彼女に薬を交換したときで、彼女は自分が誰なのかわからなくなってしまった。

また自分で恥をかくことをした。

ただ、由佳が想像していなかったのは、山口清次が一度出て行ってから戻らず、次の日にも帰ってこなかったことだ。そしてその次の夜も。

彼女は納得できず、夜更けまでベッドで待って、退屈にながらも携帯電話をチェックし続け、ついには耐えきれずに眠りに落ちた。ベッドの頭上には明かりが点けられたままだった。

朝起きると、ベッドのシーツはきちんと整えられ、誰もこなかった様子だった。

由佳はベッドに横たわり、天井を見つめ、深いため息をついた。

なぜこんなことをするのか?

彼女も考えていた。もう離婚することになっているのに、なぜ希望を抱いてしまうのか。

彼が10年間も心が惹かれた人であり、3年間も一緒に寝た夫なので、彼女が離婚したくないのも当然のことだろう。

失望がますます増えると、彼女のすべての愛情が消耗し尽くされるまで、彼女は希望を持たなくなるだろう。

由佳はしばらくベッドで横になっていたが、なんとか起き上がって身支度を整えた。

今日は日曜日で、明日は月曜日、山口清次と約束した離婚届を出しに行く日だ。

離婚届を出せば、彼らの関係は完全に終わるこ
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