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第35話  

 写真の撮影角度と鮮明さから、由佳は一目で内部のスタッフによるものだと確認できた。

マーケティングアカウントにとってはそれが重要ではなかった。彼らにとって重要なのは、加波歩美の写真のメイクが極めておかしいであったことだ。

メイクは本来加波歩美の美しさを引き立てるためのものであるが、ほお骨が突き出していて、従来のクールで美しいイメージは全然変わった。眉とリップを強調したことで、不自然かつ不機嫌そうな表情になってしまった。加波歩美のファンからも批判された。

数枚の写真の後、マーケティングアカウントは、このMQの広告キャンペーンは確実に失敗すると断言した。

不評のコメントが

が続々と寄せられた。

一番喜んだのは池田慧のファンであり、彼らは加波歩美の失敗を楽しみ、MQの公式ブログに「池田慧を選ばなかったのが間違いだ。」とコメントを残した。

これには、多くの事情を知らない人も混じっていた。

彼らのコメントとマーケティングアカウントの後押しにより、この話題はすぐにトレンド入りし、さらに多くの人々の議論を引き起こした。

多くのファンがすでに公式ブログにMQと山口家に対して加波歩美について説明を求めた。

「まるでクソみたいなメイク、せっかくの美しさが台無しだ!」

「足の指でメイクしたのか?加波歩美の以前の作品を見てみろ、真似もできないのか?」

「本当にあり得ない。加波歩美はお前たちの社長の奥さんだぞ、こんなにいい加減にするのか。」

「がっかりだ。ずっと思ってたけど、国内のメイクアーティストは海外のとは大違いだな。」

「加波歩美は本当に戻ってくるべきじゃなかった。」

多くのファンの非難と批判の中には、各ファン同士の争いも混じっており、特に池田慧と加波歩美のファン同士の争いが目立った。

MQの公式ブログのコメント数は急上昇していた。

由佳はすぐにアシスタントに電話をかけた。「広報部はこの状況に気づいている?早急にトピックを抑えるように伝えて。」

しばらくして、アシスタントが由佳に電話をかけ直してきた。「山口総監督、広報部の方から、大田総監督が山口社長に報告し、加波歩美側のチームと対処すると言っています。」

由佳は何も言わずに電話を切った。

以前は、山口清次もMQの担当者も由佳に大きな自由を与えており、MQに関するど
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