第41話  

由佳：「うん、一日目に撮った写真を一枚送って欲しい」

北田さんはすぐに由佳に一枚の写真を送ってきた。カメラマンのアングルから撮られた写真は、リークされた写真とは全く違い、修整された後は独特の雰囲気が漂っていた。

由佳はその写真をアシスタントに転送し、「写真の一部を切り取って、公式アカウントで公開して。元の写真は使わないで」と言った。

アシスタントはすぐに由佳の指示通りに公式アカウントから投稿した。「先にこちらの写真を公開します〜祝福〜加波歩美さん、本当に美しい〜」というメッセージとともに写真を添付した。

公式アカウントのコメント欄は和やかな雰囲気で、ファンたちは写真を保存していた。

この騒動はこれで収まったが、大したことではなかった。

由佳の足もほぼ治り、水曜日から会社に出勤し始めた。

由佳がトイレから出てくると、エレベーターの横を通りかかったときにエレベーターのドアが開き、山口清次が数人の秘書を連れてエレベーターから出てきた。

林特別補佐員たちは由佳を見てすぐに挨拶した。「山口総監督」

由佳は軽くうなずいて、山口清次に挨拶した。「社長、お帰りなさい」

山口清次は由佳を見て「うん」と答えた。

「お先に失礼します」

昼前に、由佳は山口清次から内線電話を受けた。

彼女は電話が切れる直前にようやく受話器を手にとった。

「もしもし、社長、何かご指示ですか？」

「私のオフィスで一緒にランチを」

「社員食堂で食べるつもりです」

「ここに君の分も用意してある」

「わかりました」

１２時になると、社員たちは一斉に立ち上がり、肩を組んで社員食堂へ向かった。

誰もいなくなると、由佳はオフィスを出て、まっすぐに社長室へ向かった。

彼女はドアをノックせずに直接開けた。

社長室の応接エリアには、すでに昼食の料理が並べられていた。

包装を見るだけで高級レストランの特別注文の料理であることがわかった。色、香り、味すべてが揃っていた。

「座って」山口清次は正方形の箱を取り上げ、由佳の前に置いた。「これ、受け取って。お気に召すと良いんだけど」

由佳は箱を開け、中にある精密な女性用腕時計を取り出した。文字盤は小さな正方形の深い青色で、非常によくできていた。

「まあまあね」

由佳は手首に試しに付けてみて、山口清次に見せた。

「とても似合っている。さあ