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第181話

由佳は一瞬驚いて山口清次を見つめた。

先ほどは偶然だと思っていたが、もしかしてわざとだったのだろうか?

「そんなことないよ」山口清次は否定したが、吉田和也は聞く耳を持たず、山口清次の牌をめくろうと手を伸ばした。

 しかし山口清次は先に牌を捨てた。

 その反応で、誰もがその意図を理解した。

 吉田和也は大声で「駄目だ、今回のは無効だ!不正をしているじゃないか!」と叫んだが、山口清次は微笑んで無視し、由佳に「もう遅いから帰ろうか?」と尋ねた。

 「うん」由佳は答えた。

 「もう少し遊んでいかない?」と吉田和也は言った。

 「また別の日に遊ぼう。今日は俺が負けたことにしておくから」

 山口清次は他の人たちにも挨拶をしてから、由佳の手を繋いで会場を出た。

 二人がエレベーターを待っていると、遠くから数人が歩いてきた。その中の一人は背が低く、大きな腹を突き出していた。山口清次を見ると、笑顔で近づき、「山口社長、お久しぶりです」と挨拶した。

 山口清次はその人物を見て表情を変えず、「加波さん」と返した。

 加波靖真は「ここでお会いできるとは思いませんでした。まさに偶然ですね」と言った。

 二人が短く挨拶を交わした後、加波靖真は笑いながら「娘の加波歩美がお世話になり、山口社長には色々とご負担をおかけしました。彼女は今も撮影中ですか?」と尋ねた。

山口清次はうなずいただけで、話題を広げようとはしなかった。

どうやら加波歩美の話をこれ以上はしたくないようだった。

加波靖真は由佳を見て、「時が経つのは早いものですね。歩美ちゃんが幼い頃、二つ結びで私を呼んでいたのを今でも覚えています。もう彼女もいい歳だというのに、未だに外で女優をやっている。同い年の女の子は既に子どもがいるというのに」と鎌をかけた。

 「人それぞれの道がありますから。」山口清次は答えた。

 山口清次が加波歩美の話をしたがらないことを察した加波靖真は、視線を由佳に向け、「山口社長、こちらの方は?」と尋ねた。

 山口清次は簡潔に「山口由佳です」と紹介した。

 加波靖真は納得したようにうなずき、すぐに笑顔を見せて「山口さん、お噂はかねがね伺っております。今夜お会いできて光栄です」と言った。

 その言葉の間に、彼の視線は二人が手をつないでいるのを捉えていた。

 由佳は「とんで
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