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第180話

山口清次は大和を見つめ、「確かだ。もう決めたんだ。」

大和は唇を引き結び、「じゃあ、彼女のことを愛しているのか?」

山口清次は大和が指しているのが由佳であることに気づき、目を細めた。「それが愛かどうかは分からないが、彼女とは離婚したくない。彼女が自分から離れていくことを考えると、心が痛むんだ。」

「ただその結婚生活に慣れているだけかもしれない。離婚して独り身に戻って、しばらくすれば気にしなくなるかも。」

山口清次は窓の外を見つめ、黙り込んだ。

彼は大和の言葉を気にしていない様子だった。

大和はため息をつき、驚きと歩美への同情の入り混じった表情を浮かべた。

「歩美は君と別れることに同意したのか?」

山口清次は眉をひそめ、冷静に言った。「彼女には他に選択肢がない。」

大和は山口清次を見つめ、彼が冷酷だと言うべきか迷った。

歩美との長年の関係が、たった三年の由佳との結婚生活に勝てないとは。

男は感情において変わりやすい生き物だと再認識した。

大和はそれ以上言っても無駄だと悟り、その場を立ち去った。

山口清次は窓のそばにしばらく立ってから、ボックスシートに戻った。

ボックスシートでは、マージャン卓で何局かが終わっていた。由佳は足を揃えて座り、前には一列のマージャン牌が並んでいた。牌を取ろうとしていたところに、山口清次が入ってきた。

和也は笑いながら言った。「山口清次、知らなかったけど、由佳はマージャンが上手だよ。全部彼女が勝ってるんだ。」

山口清次は薄く笑い、由佳の後ろに座った。

由佳は振り返って山口清次を見て、「山口清次、あなたがして。」

山口清次は軽く笑って首を振った。「君がしてればいい。」

和也は山口清次を一瞥し、また由佳を見て笑いながら言った。「由佳、二人で譲り合うなよ。誰が打っても同じだ。どうせ勝てば二人の金になるんだから。」

山口清次はただ静かに微笑み、視線を由佳に向けた。

由佳は再びマージャンをし始めたが、この局は運が悪く負けてしまった。

山口清次が来てから、由佳の運は悪くなり、連続で負けた。

和也はボタンを押し、サイコロがガラスの下で回り始めた。彼は顔を上げ、半ば笑いながら山口清次を見つめ、「山口清次、外で遊んでたほうがいいよ。由佳の運を邪魔してるんじゃないか?」

山口清次は笑って何も言わなかった。

由佳は指
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