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第178話

以前、由佳は彼の友人たちの前で「お兄さん」と呼ぶことに慣れていたため、すぐには直せなかった。

山口清次がそう尋ねると、由佳は微笑みながら言った。「じゃあ、何て呼べばいいの?」

「君はどう思う?」

「山口清次。」

山口清次は笑って、何も言わなかった。

一瞬、由佳が「夫」と呼んでくれることを期待したが、そうはならないと分かっていた。

二人は、お互いを夫婦と呼び合ったことが一度もなかった。

その呼び名は二人にとって非常に馴染みのないものだった。

二人のやり取りを見て、大和の顔色はますます複雑になった。

大網は具体的な事情は分からなかったが、大体の出来事を察した。

彼は場を和ませようとして、「今日はどうして遅れたんだ?パートナーに引き止められたのか?」と尋ねた。

山口清次は、「いや、由佳と一緒にペアリングを選んでいたんだ。それで遅くなった。」と答えた。

「それは買うべきだな。こんなに長い間、指輪もないなんておかしい。」と大網が言った。

和也は内心驚いていた。

大網の言葉からすると、山口清次と由佳は既に結婚しているのか?

でも、それほど驚きもしなかった。山口清次が由佳の手を引いて入ってきたときから、山口家の祖父がいる以上、二人が関係を持ったら、結婚しないわけにはいかないと理解していた。

しかし、和也は前日に山口清次が歩美のために開いた豪華な誕生日パーティーのことを知っていた。そこに記者はいなかったが、二人が踊る動画がこっそり撮られてネットに流れ、小規模な議論を引き起こしていた。ネットユーザーたちは、山口清次と歩美がとてもお似合いだと言っていた。

今日、山口清次は由佳を連れて、友人たちにペアリングを買いに来た。

「僕は言っただろう。山口清次が歩美と結婚することはないって。」と誰かが小声で話していた。

「芸能界は乱れているし、国外はもっとひどい。歩美が外国で成功するには、何か代償を払わないといけないんじゃないか?」

「そうだな、山口清次はただ遊んでいるだけだ。」

「そんなこと言うなよ、山口清次はそんな人じゃない。何か僕たちが知らない事情があったんだろう。」と和也が言った。

長年の付き合いで、和也は山口清次が人の感情を弄ぶような人ではないことを知っていた。

それでも、和也は理解できなかった。山口清次と歩美は明らかにお似合いのカップルであ
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