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第111話

静まり返ったオフィスの雰囲気では、誰もあえて口をきかなかった。

山本家族企業に、通常は社員を知らせて大きなグループチャットがある。

この大きなグループチャットの主要な管理者は、社長室の大輝である。

山口清次もこのグループに入っているが、管理者の一人であるものの、一度もグループ内で話したことはない。

普段、この大きなグループチャットでは非常に静かで、たとえ多くの人が参加していても、上司たちの存在のため、自由に話すことを控えている。最も多く送られるのは「受け取りました」という言葉だけだ。

今日、全員がこの大きなグループチャットに通知が届いた。大輝から何か通知があると思って開いたところ、社員たちは驚愕に目を丸くした。

グループ内で話しているのは、会社のグループ管理者である山口清次だった。

山口清次がグループ内で話したのか?

山本家族企業の社員守則第53条:厳格な仕事の作風を確立し、良好な仕事態度を維持すること。勤務中に私語や無駄話をし、非仕事の話題を議論し、噂を広めることを厳禁とする。管理者について陰口を叩くことも禁止する。違反者は、初回は警告され、その月の給与の10%が差し引かる。2回目は給与が20%減額され、仕事の中で優れた成績を収めた場合は回復を申請できる。3回目の違反者は解雇され、再雇用されることはない。

すぐに、「受け取りました」というメッセージが次々と現れた。

噂と言えば、歩美が会社に来て山口清次を訪ねた時から、社員たちは議論を始めた。その後、山口清次と歩美が何度か写真を撮られ、ある社員たちは山口清次の感情問題について話し始めた。後に山口清次と由佳が一緒に写真に撮られたことで、会社内の噂は絶えなかった。

しかし、そのような噂が山口清次の耳に入ることはなかった。

山口清次はこのような些細なことには関心を持たなかった。

だが今日、普段はグループチャットで話さない彼が発言したのだ。

たとえ社員守則第53条を繰り返しただけでも、誰もがそれを無視することはできなかった。

事情を知る社員たちはもう当事者である由佳が休暇を終えて今日会社に戻ってきたことを知っていた。

山口清次のこの発言は、由佳のために噂を打ち消そうとしているようなものだった。

由佳もこの大きなグループチャットに参加しており、もちろんこのメッセージを見た。

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