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第24話

どうして彼がここに!

紫琴音の表情が引き締まり、手のひらが微かに熱を帯びた。

目の前のこの人は、あの日彼女と対峙した男とまったく同じ顔をしている!

いや、正確には、彼らは同じ人なのだろう!

同じく美しい顔立ち、深い瞳、そしてその鋭さに満ちた殺気……

最初の対決の後、彼女は先入観で彼を宮中の侍衛だと思い込んでいた。

しかし実際には、彼は皇帝、藤原清だったのだ!

だが、裕福に暮らした帝王が、どうしてあんなに高い武芸を持っているのか。

紫琴音は藤原清を認識していたが、藤原清は彼女が二度も交手した刺客だとは知らなかった。

「皇后はずっと朕を見つめ続けるつもりか」藤原清の声は険悪だった。

紫琴音はすぐに思考を戻し、目を伏せた。

「無礼をお許しください」

彼女は表面上は平静を装っていたが、心の中ではまだ驚いていた。

これが藤原清が初めて彼女の顔を間近で見る瞬間だった。

前回彼女を見たのは、彼女が馬を御して皇太后を救ったときだ。高い所から遠くにいる彼女を一瞥しただけだった……

突然、藤原清の冷たい指が彼女の顎を持ち上げ、その目はすべてを見下ろすようだった。

紫家は代々、美貌を求めず、清らかな顔や姿を持つ賢い后を送り出してきた。

しかし今代になり、彼女のような美貌を持つ者が宮中に送り込まれた。

紫家の意図は明白だった。

これほどの美しい女性を宮中に送り込んで、寵愛を求めないわけがない!

事実、彼女が宮中に入って以来、まったく静かにしていない。

「誰が紫宸殿に人を送るように指示したのか!」

紫琴音は顔を上げざるを得ず、彼をまっすぐに見つめて答えた。

「私は宮中の規則に従って行動しました。何が間違いだったのでしょうか?」

藤原清の目は冷たく光った。「皇后は朕の規則を理解していないようだ。朕がしっかり教えてやるべきだ」

そう言いながら、彼は彼女の顎を放し、高野清雄に命じた。

「皇后が宮中に入ったばかりで、規則を知らないのは、その側近の者たちの責任だ。誰か来い、皇后の侍女たちを全員連れ出して、棒で打て……」

大野は耳が良く、殿の外でその言葉を聞いて、瞬時に足がすくんだ。

もう終わりだ!

彼女はどうしてこんなに不運なんだ
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