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第22話

藤原清の黒く鋭い瞳からは冷たい寒気が放たれ、目の前の女性を冷ややかに見つめた。

静子夫人は薄い寝衣を身にまとい、床に跪座していた。

春の夜の冷え込みが原因なのか、それとも帝王の怒りが極寒の地に落ちたかのように感じさせたのか、彼女は頭を垂らし震えが止まらなかった。

「私…私は静子夫人です。皇貴妃様の宮で、皇帝にお会いしたことがあります…」

なんとかそう言い切ったものの、喉がひどく乾き、かさついていた。

藤原清の顔は美しくも冷酷だった。まるで閻魔殿の修羅のように、その冷たさが人を恐怖に陥れた。

彼の声色は平静だったにもかかわらずだ。

「皇后はどこにいる」彼は再び問いかけた。

周りの空気はますます薄くなり、静子夫人はその威圧感に押しつぶされそうになった。

「皇后陛下のご指示で、私が…夜伽に参りました」

先ほど声を聞いた高野清雄は、召される前に駆け込んできた。

ちょうど静子夫人の言葉を聞いて、目を見張り、口がふさがらなかった。

なんですって?!

今夜夜伽するのは皇后ではないのか?

皇后は何を考えているのだ、駆け引きでもしているのか?

実際のところ、静子夫人自身も驚いていた。

彼女はまさか自分に夜伽の機会が巡ってくるとは思ってもみなかった。

昼間、皇帝が皇后の脅迫に応じたと聞いて、彼女は非常に不満だった。

しかしその後、皇后が彼女に今夜夜伽するよう指示を出してきたことを知らされた。

彼女は興奮し、段仲の良い皇貴妃にもこのことを伝えなかった。

紫宸殿に到着すると、緊張と興奮が入り混じった気持ちになった。

長年宮廷に仕えてきたが、ようやく今夜、自分の願いが叶うのだと。

しかし、皇帝が帳を開けて彼女を目にした瞬間、その表情はまるで彼女を殺さんばかりに見つめ、彼女が誰なのかを問うた。

彼女は本当に覚えてもらえていないのか?

静子夫人はひどく悲しくなり、思わず目には涙が浮かんだ。

「陛下…」

しかし、彼女が口を開いた途端、藤原清の目には冷たい怒りが宿っていた。

皇袍の裾が空中に弧を描き、彼は背を向けて高野清雄に命じた。

「連れて帰れ!」

誰を連れて帰るのかははっきりとわかる。

静子夫人はその言葉を聞いて、た
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