第88話

山口は鉄の棒を取り出し、大股で前に進んだ。

小倉拓也はまだ助けを求めようとしていたが、山口はためらうことなく鉄棒を振り下ろした。

ボキッ！という音が響き渡り、小倉拓也の右膝の骨が粉々になった。

こんな傷は一生治ることができない。

小倉拓也は痛みに泣き叫んだが、田中健太は冷たく言った。「これではまだ足りない。片方の足だけでは杖を使える。彼が一生車椅子から離れられないようにしろ。」

山口はすぐにうなずき、鉄棒を再び振り下ろし、小倉拓也の左膝も粉砕した。

小倉拓也は痛みに地面を転がり回り、ほとんど意識を失いかけていた。

小川翔太は山口に言った。「口を塞げ。田中さんがうるさいと言っている。」

「了解しました！」

山口はすぐに数枚のガーゼを小倉拓也の口に詰め込み、彼を地面に転がして放置した。

山崎慎一は顔が真っ青になり、田中健太の怒りを前に震え上がっていた。彼は何も言わずに跪き、頭を何度も地面に打ちつけた。「田中さん、申し訳ございませんでした。どうか私を許してください！」

山藤綾も震え上がり、山崎慎一を見て自分も跪き、同じように謝罪を繰り返した。

田中健太が冷たく言った。「このクズたち、頭を下げれば許されると思っているのか？本当に愚かで呑気だな！」

二人は恐怖で震え上がった。

その時、黒服の男たちが二人の中年男性を縛り上げて病室に入ってきた。

二人の中年男性はすでに殴られ、瀕死の状態だった。

彼らは二人の中年男性を地面に投げつけ、田中健太に向かって言った。「田中さん、お連れしました。」

山崎慎一と山藤綾は彼らを見て、その場で意識を失いそうになった。

地面に横たわっている二人の中年男性は、山崎慎一の父親である山崎真之介と、山藤綾の父親である山藤幸男だった。

田中健太は冷水を使って山崎真之介と山藤幸男の顔を濡らし、二人を目覚めさせた。

彼は山藤幸男に冷たく尋ねた。「山藤さん、あなたの娘が婚約者に浮気していることを知っていますか？」

山藤幸男は恐怖で震え上がり、来る前に一度殴られたことを思い出し、娘が厄介な事態を引き起こしたと分かった。彼は一生懸命に頭を振り、「知りません、知りませんでした......」と答えた。

田中健太はうなずき、「知らないと言うのか？それなら父親としての責任がないということだな。山口、