第81話

山口太輔は驚きと恐怖に包まれた。

夢にも思わなかったことは、卵で修復した瓶が、より貴重な宝物になったということだ！

彼は急いで田中健太を指さし、「この方が修復したんです......」と言った。

小池紗英子は田中健太を一瞥し、疑問を抱き始めた。彼はまだ若いのに、伝承が失われた文物修復技術を知っているなんて。

彼女は微笑を浮かべて、礼儀正しく聞いた。「小池紗英子と申します。お名前を伺ってもよろしいですか？修復技術はどの文物大師から学ばれたのでしょうか？」

そばで震えていた義父の佐藤太郎は、小池紗英子の名前を聞いて驚きのあまり言葉を失った。

小池家の人間だと？！小池家は京都で最も権力のある家庭だ。東京の超大物家族すら手には及ばず、京都では無敵だ。

まさか、ここで小池家のお嬢さんと出会うとは！

一方、田中健太は小池紗英子の身分に特に感動はしなかった。小池家は強力な家庭だが、千億円規模の資産にすぎない。葉家の数兆円規模の資産と比べると、全く話にもならない。

そこで田中健太が淡々と答えた。「私は田中と申しますが、特に師承はございません。」

彼は続けて言った。「私の義父があなたたちの玉壶春瓶を壊してしまい修復しました。具体的な価値を鑑定していただき、まだ賠償が必要かどうかの確認をお願します。」

小池紗英子は微笑を浮かべ、「あなたが修復した後、この瓶は元の価値をはるかに超えています。万福堂があなたに感謝をするべきですが。」と言った。

田中健太は淡々と笑い、「そんなに気を使わないでください。ここはもう片が付いたので、私と義父はこれで帰ります。」と答えた。

小池紗英子は大きな目を輝かせ、笑顔で言った。「田中さん、お名前をお聞かせいただけますか？今後の連絡のために連絡先を交換してもよろしいでしょうか？」

そう言いながら、小池紗英子は自分の名刺を差し出し、「田中さん、こちらは私の名刺です。どうぞよろしくお願いします。」と言った。

田中健太はうなずいて名刺を受け取り、「名刺は持っていません。」と淡々と答えた。

「大丈夫です。」小池紗英子が言った。「電話番号だけ教えていただけますか？」

田中健太は、新しい知り合いを作ることは悪くないと思った。小池紗英子が礼儀正しく謙虚であることに好感を持っていた。彼女は穏やかな人柄で、感じは良かった。

そこで