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第6話

私は密かにお金を貯めて、明和との結婚を夢見ていた。

猫と犬を飼って、家は大きくなくても、一緒に暮らせるくらいの広さがあればいいと思っていた。

陽の差す午後に、彼のために糸を拭き、お茶を入れ、ウクレレの演奏を聴きながら踊りを踊ろうと思っていた。

何度も暗い時期を、そんな素敵な夢を頼りに眠れない夜を過ごした。

私の暗い人生で唯一私を照らしてくれた光を、私は大切に守っていた。

それは彼が冗談めかして約束してくれた一言があったから。

「俺の瑤子が傘を持っていないなら、俺がお前の傘になって、これからは風雨から守って、誰にもお前を傷つけさせない」

私は本当にそれを信じていた。

でも、私が最後の救いだと思っていた彼も、結局は裏切り者に過ぎなかった。

真心は確かに人の支えになれるが、真心は移ろいやすいものだ。

私は病院の霊安室の冷蔵庫に安置され、火葬を待っていた。

友希はもう目覚めていて、この数日間の回復は順調で、医師が全身の血液を入れ替えたと聞いて、彼女は驚いて口を押さえた。

「瑤子がこんなに血液を持っているなんて思わなかった。体が丈夫なのね。私とは違って、いつも病弱だったのに」

両親は顔を見合わせ、私が亡くなったことを彼女に告げなかった。

明和だけが無理に笑みを浮かべて言った。

「友希、お父さんとお母さんは稀少血液型の機関と連絡を取ってくれた。これからは血液が十分に確保できるよ。

ゆっくり休んで。来月には俺たちの結婚式もあるから……」

しかし友希は不満そうに彼の言葉を遮った。

「どうして瑤子に採血を続けさせないの?便利じゃない。あの子のことを心配してるの?」

部屋の中は針が落ちる音が聞こえるほど静かになった。

明和は少し固まり、声が冷たくなった。

「瑤子は死んだんだ。失血が多すぎて、手術台で持ちこたえられなかった。

もう誰も彼女を心配したくてもできないんだ」

友希は目を転がした。「死んだものは死んだのよ。そんな目で私を見て何になるの?どうせパパとママが私の血液バンクとして産んだ子だから。これで彼女の役目は果たされたわ。きっといい転生先に恵まれるはずよ」

友希がこんな言葉を発するとは、私には想像もできなかった。

これまで彼女は人々の前で、不遇な天才少女を演じ続けてきた。

今になって初めて、友希の清らかな外見の下に隠された醜い本質
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