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第8話

僕はスマホを美咲の目の前に差し出し、「じゃあ、自分で見てみろ」と言った。

彼女がスマホを奪おうと手を伸ばすと、僕は笑いながら言った。

「このデータが消えても、バックアップがある。

僕が通報したら、真一は刑務所行きだ。通報されたくなければ、この書類にサインしろ!」

美咲、お前たちの愛がどれだけ深いか見せてもらおう。

お前にとって大事なのは金なのか、真実の愛なのか。

真一は美咲の腕を引っ張り、困った声で言った。

「美咲、サインしてくれよ。僕は刑務所に入るわけにはいかないんだ!」

美咲は「でも、そうしたら私たち、お金が手に入らないじゃない」と言った。

「財産なんてなくてもいいんだ。僕が刑務所に入ったら、一生終わりなんだよ!

僕が刑務所で2年も過ごすなんて、君は耐えられるのか?」

美咲は、真一の切なそうな目を見つめ、しばらく考えた後、僕から書類を受け取り、名前をサインした。

僕は彼女がサインした文字を見て、爽快に笑った。

僕が苦労して稼いだ金をただで使いたいだなんて、寝言は寝てから言え。

美咲は僕を睨みつけ、「悠人、結局お前は金を使わせないためにこんなことをしたんだな。男のくせに心が狭いし、卑怯だな」と言った。

「お互い様だろう?」

美咲は財産放棄の書類に順調にサインした。

そして僕たちは離婚手続きを終えた。

家の契約期限ももうすぐ切れるが、僕はもうこれ以上契約の更新もしなかった。

その日のうちに、僕はパソコンと口座にある金を持って家を出た。あの賃貸アパートにあるものは全部置いていった。

これからの生活は一人だけだ。僕は自分の人生を存分に楽しむつもりだ!

口座にある金でスタジオを借り、必要な機材を揃え、仲間たちを呼び寄せた。

昼間はオフィスで働き、夜はオフィスに折りたたみベッドを置いて寝る生活を送った。

スタッフの数も、最初は6〜8人だったのが、10人、30人、50人と増えていった。

顧客の紹介もあって、徐々に新しいクライアントも増えて、スタジオの名声も上がっていった。

1年も経たないうちに、26歳で生涯初の300万円を稼いだ。

これからもさらに100万円、そしてそれ以上の金を稼ぎ続けるだろう。

誰かに裏切られることはあっても、金だけは裏切らなかった。

そこに置いてあるだけで、目を離しても逃げることはないからだ。

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