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妻は愛人のヌードモデルになるため、私を感電させてしまった
妻は愛人のヌードモデルになるため、私を感電させてしまった
著者: 中村悠一

第1話

「旦那さん、家の洗濯機がずっとブンブン鳴ってるの。ちょっと直してくれない?」

長時間座っていた体を伸ばし、僕は描き終えた図を保存した。

この図面はクライアントが大金を払って依頼してきたものだった。

残りの報酬を受け取れば、今持っている貯金と合わせて、二人だけの家を買えるだろう。

借家じゃなくて、やっと自分たちだけの家が買える。

美咲の優しい声を聞き、僕はそんな想像をした。

そしてすぐに立ち上がり、机を離れた。

洗面所に行くと、ガタガタと音を立てながら揺れている洗濯機が目に入った。

まだ古い二槽式の手動洗濯機だった。黄色く汚れた外観は長く使われていることを物語っていた。

そろそろ買い替え時だな、僕はそう思った。

新しい家には全自動洗濯機を設置しよう。

美咲はゴム手袋と長靴を履いていて、気を利かせてドライバーを差し出してきた。

しかし、僕が洗濯機に手をかけた瞬間、ビリビリとした痺れが全身を襲った。

胸の奥で心臓が狂ったように脈打ち、何秒間か痙攣した後、ついに、耐え切れずに心肺機能が停止したのを感じた。

僕は地面に倒れた。

最後に聞こえたのは、美咲の声だった。

「鈴木先生、今、彼が感電して倒れたわ。もう完全に死んでるわよ!

大丈夫よ、私はちゃんと離れてるから安全よ」

彼女は電話に向かって甘い声で笑いながら話していた。

「うん、葬式が終わったら、あなたのところに引っ越すわ。

そうよ、彼の口座にはまだたくさんお金があるわよ。私たち二人で十分暮らせるわ」

彼女は僕を冷たく見つめ、まるで僕が今経験したことがただの事故であるかのように振る舞っていた。

僕は地面に横たわり、怒りに満ちた視線を彼女に向けた。彼女が僕の銀行カードを手に取り、ゆっくり電話をかけて始めた。

「……うぅうぅ、旦那が感電して死んでしまって……葬式の手続きをお願いしたくて」

彼女は僕の口座の暗証番号が自分の誕生日であることを知っており、すでに詳細を確認していた。口座には七桁の数字が表示されていた。

彼女は顔に微笑みが浮かんでいたが、声だけは悲しそうに装っていた。

「うちにはお金がないので、簡単に火葬だけで済ませたいんです。お墓は必要ありません。

一番安いのは6万?もっと安いのはないんですか?……じゃあ、それにします」

彼女は辛辣な面持ちで火葬を終え、僕の骨壷を家に持ち帰った。

そして、それを玄関のゴミ箱に放り投げ、安堵の息をついた。

その後、彼女は急いでお金を持って愛人の家に引っ越し、10万円の洋服を愛人に買い与え、1泊3万円の高級ホテルで一緒に旅行していた。

僕は彼女を睨みつけながら、愛人の従順な笑顔を見つめた。

彼女は、僕のお金を使った上に最も安い葬式を選んだのに、愛人には10万円の洋服を買うなんて。

僕の意識は徐々に薄れていった……

制御できない涙が頬を伝い、袖が濡れたとき、僕はようやく目を覚ました。

乱暴に目元をこすり、パソコンの画面に残った涙の痕を拭き取った。

「また生き返ったのか?」

手のひらに鋭い痛みが走り、頭は激しく痛んでいた。

「旦那さん、家の洗濯機がずっとブンブン鳴ってるの。ちょっと直してくれない?」

美咲の優しい声が外から響いてきた。

しばらくすると、彼女はまた呼んだ。「旦那さん、また洗濯機が壊れたの。直してくれない?」

二度呼ばれても僕が動かなかったのを見て、彼女は怒り気味にドアを開けた。

「ねえ、何度も呼んだのに、どうして無視してるの?」

僕の頭はまだ回っておらず、信じられなかった。

妻が愛人と一緒にいるために、僕を殺そうとしていたなんて。

彼女は僕の様子がおかしいと察し、心配そうな表情をしながら、僕の額に手を伸ばしてきた。

僕は恐ろしくなってその手を避けた。

彼女は特に気にせず、修理道具を渡してきた。

いつもの黒いハンドルのドライバーだった。

「洗濯機を見てきて……」

僕はドライバーを持ち、ゆっくりと洗面所に向かった。美咲は僕の後ろにいて、僕を急かしていた。

「旦那、早くしてよ、ピンクのワンピースがまだ洗濯機の中で回ってるの」

給湯器はまだ水を滴らせており、家中の電源も切れていなかった。

振り返って彼女を見ると、彼女は絶縁体のゴム長靴を履き、ゴム手袋をはめ、何の防護もしていなかった僕を前に押し出していたのに気付いた。

すべてが前の人生と重なった。妻がどれほど切実に僕を殺そうとしているかに気づいた。

僕は怒りをこらえ、振り返った。

美咲は僕が向きを変えたのを見て、慌てて僕の腕をつかんだ。「洗濯機!」

僕は彼女の手を振り払い、冷静に言った。「洗濯機を直す前に、電源を切るべきじゃないか。君のお父さんは電気技師なんだし、それくらい知ってるだろう?」

彼女はしぶしぶ手を放し、「あっ、そうだ!忘れてたわ」と答えた。

彼女が履いていたゴム長靴と手袋を見ても、彼女が忘れていたとは到底思えなかった。

考えてみれば、かつて、彼女は決して家事には手を出さなかったのに、今になって洗濯をするなんて異常だった。

僕は家中のブレーカーをすべて切り、ゴム長靴と手袋を履いて洗面所へ向かった。

その後、美咲の残念そうな顔に気づいた。

僕が感電死しなかったことが、そんなに残念だったのか?

僕の心は痛んだ。

彼女が僕の死後にやったことを思い出すたびに、その痛みは増していった。

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