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第 0350 話

彼女は、海咲をこんなに大切にしてくれる家族がいることを羨ましく思った。

海咲の友人だからこそ、彼女たちがこんなにも彼女を大切にしてくれるのだと理解していた。

「泣かないで、女の子の涙はとても価値があるから」温井兆は女の子が泣くのを見たくなかった。

けれども、由依は泣き止むことができなかった。

海咲は、人に共感するのが得意な性格だった。

彼女は由依が両親を持たず、唯一の親族は尾﨑さんだけだと知っていた。だから、彼女の心に同情を感じ、彼女を両親に会わせたいと思ったのだ。

「泣かないで、今日はもう涙を流しすぎたんじゃない?」海咲は彼女を泣かせたくはなかった。

由依は涙を引っ込め、鼻をすする。「ありが
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