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第4話

坂本美世が最初に松井湊の側に現れ始めた頃、松井湊の変化は一目瞭然だった。

彼は家にいても、いつも何気なくスマホを気にしていたし、さらに自分で覗き見防止のフィルムを購入した。

私が理由を聞いたとき、彼は「病院では人が多くて、誰かに覗かれるのは嫌だから」と説明した。

私はその時、特に疑問を抱かずに引き下がった。

だが、女性の直感は鋭いものだ。松井湊の会話の中に、坂本美世の名前が徐々に頻繁に登場するようになり、私は何かおかしいと感じ始めた。

それでも、まさか彼が坂本美世のために不正を働き、私の親を死なせるとは思ってもみなかった。

その電話の後、松井湊は私に一切連絡をしてこなかった。

彼はきっと待っているのだろう。私が折れるのを、謝罪しに来るのを。

だが私は、母の葬儀の準備に忙しく、彼に構っている暇などなかった。

母は生前、「葬儀は簡素で良い」と言っていた。ただみんなが別れを告げられればそれで十分だと。

祭壇は簡素に飾られ、母の好きだった白木蓮の花が飾られていた。

少数の友人たちが訪れ、母の愛した花を捧げてくれた。

しかし、木村北斗が来るとは思いもしなかった。

彼は木村おばさんと一緒に来ていた。

久しぶりに彼を見たが、その姿はほとんど変わっていなかった。

彼は依然として精悍で、冷ややかで、他人を寄せ付けない雰囲気を纏っていた。

私の母と木村おばさんはかつて親友同士だったが、住む場所が離れたことや、木村北斗の事業が成功して我が家とは不釣り合いなほどの地位を築いたことで、母は自然と距離を置くようになった。

母は権力や富裕によって人間関係が変わることを嫌い、そういった試みを避けるために連絡を減らしていたのだ。

木村思さんは母を久しぶりに見て涙を流し、母がなぜ長い間会いに来なかったのかを嘆いた。

彼女は私に手を握りながら、過去の話をたくさんしてくれた。

彼女は、母の性格をよく理解していると言いながらも怒っていた。

「どうしてそんな些細な理由で、友達としての絆を無視してしまったのか?」と。

木村おばさんは、母がそうするはずがないと信じていた。彼女は財産や地位などに関係なく、彼女たちの友情は変わらないと感じていたのだ。

彼女の話を聞いて、私は温かさを感
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