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第177話

医生は修に検査を行い、彼の額の傷を処理した。軽い脳震盪があるとのことだった。

若子は修のベッドの横に座り、彼の手をしっかりと握りしめながら、心配そうな顔で言った。「修、まだ痛い?」

「大丈夫だ、痛くない。お前は本当にバカだな、なんで他人の盾になるんだ?もし怪我をしたらどうするんだ?」

修は眉をひそめ、目の奥には濃い心配と少しの叱責が浮かんでいた。

「彼女は他人じゃない、私の友達だもの」若子は説明した。

「でもお前は俺の嫁だ。俺が気にするのはお前だけだ」

「修......」若子は鼻がツンとし、涙がこぼれ落ちた。彼女はこのタイミングで、守ってくれたのが修だとは思わなかった。

彼に失望していた時、彼は迷わず彼女を守り、怪我をしても彼女のことを最優先に心配していた。

彼女は本当に悩んでいた。この男に対して愛と憎しみが交錯し、どうすればいいのか分からなかった。

「どうした?」修は身を起こし、手で彼女の顔を包み、親指で涙を優しく拭き取った。「何で泣いてるんだ?」

彼の口調がきつすぎて、怖がらせてしまったのだろうか?

妊娠しているせいか、若子は最近情緒不安定だった。慌てて涙を拭き取り、「ただ…あなたが無事かどうか心配で」

彼があの場で盾になったが、相手が花瓶ではなく、もしナイフやもっと危険な武器を持っていたらどうなっていたのか。

すでに過ぎたこととはいえ、若子はまだ心臓がドキドキしていた。

「もう泣くな」修は彼女の頭を胸に押しつけ、まるで子供をあやすように背中を優しく撫でた。「もう終わった。俺は大丈夫、ただのかすり傷だ、数日で治る」

彼の優しい声は、冬の日差しのように彼女の心を暖かく包んでいた。

まるで二人がまだ愛し合う夫婦であり、何も悪いことが起きていなかったかのように。修は彼女を愛し、守り、深く愛していた。

若子は涙を拭き、彼の胸から離れた。「修、なんであんなに急に飛び出してきたの?相手がナイフを持っていたらどうするつもりだったの?」

彼女は考えれば考えるほど怖くなってきた。

「お前は俺の嫁だ。お前が怪我するのを見てるわけにはいかないだろう」

彼は愛おしそうに彼女の頭を撫で、「何があっても、お前を守るよ」

若子は目を赤くして、目の前の男をじっと見つめていた。二人の間に起こったすべてのことが、まるで映画のように頭の中をよぎった。

なぜ
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