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第154話

深夜になった。

村上允は洗面所で顔を洗ってからふらふらとリビングに戻り、そのままドサッと床に座り込んだ。そして、フロアの大きな窓の前で酔っ払っている男をじっと見つめた。

「おい、もう何時間も経ったぞ。いったい何があったんだ?何か言ってくれよ」

修は数時間前にここに来て、一言も話さずに彼の酒棚を開けて、大切にしていた酒を次々と取り出しては開け、ひたすら飲んでいた。

村上允も仕方なく付き合って一緒に飲んだが、彼自身もすでに意識が途切れそうなところだった。それでも、修はまだ飲み足りない様子だ。

「はぁ......」村上允は力なく床に倒れ込み、長いため息をついた。「なあ、相棒、もう何も言わないなら俺、寝るぞ」

床で寝るのも別に構わない。

二人の大の男がカーペットの上に無造作に座り込み、普段の優雅さや上品さはどこにも見当たらない。

表面上はどんなに華やかな人間でも、裏では思いっきりリラックスしたくなることもある。むしろ普通の人よりも粗野なことをしているかもしれない。

「若子が俺と雅子がベッドにいるのを見たんだ」

村上允は目を閉じかけた瞬間、急に目を見開き、慌てて床から起き上がった。

「何だって?」修は黙って酒を一口飲んだ。

「この......!」

村上允は今にも罵ろうとしたが、最終的にため息をついて、「どうせもう起こったことだし、今さら怒鳴ったところで無駄だろ。お前、結婚してるんだぞ、なんで自分を抑えられないんだ?」

修が結婚した当初、村上允は「結婚しても修は女性との関係が変わらないだろう」と冗談半分に言っていたが、

いざこうなってみると、どうしても彼に文句を言いたくなる。

修は眉をひそめ、不機嫌そうに「何を勝手に言ってるんだ?」と返した。

「お前が自分で言ったじゃないか、若子が桜井雅子とベッドにいるのを見たんだろ?そうだよな、彼女が雅子だから、身体を抑えられなかったんだろ。絶対に......」

「黙れ!」修は話を遮り、「そんなことじゃないんだ」

「じゃあ、どういうことだよ?」村上允はため息をつきながら言った。「とにかく、お前が想像してるようなことじゃない」

「おい、修、お前はどうしたいんだ?この結婚を続ける気があるのか?お前たち夫婦、お互い外に誰かがいるなら、何のために無駄な時間を過ごしてるんだ?」

修の目に一瞬の困惑が走った。「俺
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