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第162話

数日後。

松本若子は石田華の傍らで編み物を手伝っていた。

この数日間、若子は石田華と共に時間を過ごしていた。

「若子、修といつ離婚するつもりなの?」

松本若子は淡々と微笑んだ。「おばあちゃん、彼は最近忙しいみたいです。彼が落ち着いたらすぐに話しますよ。でも、心配しないで。たとえ彼と離婚しても、私はこれからもおばあちゃんのところに来ます。おばあちゃんは永遠に私のおばあちゃんです」

「おばあちゃんはただ、あなたが早く幸せになってほしいだけなのよ。あの子がどれだけ忙しくても、離婚に一時間もかけられないなんて信じられないわ」

以前は石田華が二人の離婚を止めていたが、今や逆に石田華が急かしているように見える。

かつては敏感な話題も、今では軽々と口にできるようになっていた。

「彼は本当に忙しいんです、おばあちゃんも知っているでしょう。会社のことがたくさんありますし、彼は総裁だから、やることが山ほどあって......」

「もういいわ」石田華は彼女の言葉を遮った。「おばあちゃんに隠さないで。修が入院しているのは知ってるのよ」

松本若子の心が一瞬震え、驚いて編み針を持つ手が止まった。「おばあちゃん......知ってたの?」

若子はこの数日間、ずっと隠し通そうとしていた。おばあちゃんに心配をかけたくない一心だったのに、彼女はすでに知っていたのだ。今後は隠し事をするのは無理だろうと、若子は思った。

「あなたたちはおばあちゃんが心配すると思って言わなかったのでしょう。でも忘れないで、おばあちゃんはもう会社からは引退しているけど、まだ会社のことは分かっているのよ。修が何日も会社に来ていないことぐらい、電話一本で調べられるわ」

石田華は彼らが想像する以上に鋭い。

「おばあちゃん、心配しないでください。今日、彼は退院するはずです」

「そうね、おばあちゃんも知っているわ。あの子はずっと胃が悪いから、今日退院しても、また無理をすればすぐに病院に戻るわ。あの子は全然自分の体を大切にしないで、ただお酒を飲んでばかりいるのよ」石田華はため息をついた。

「おばあちゃん、修の胃が悪いことを知っていたのですか?」

「ええ、知っていたわ」

「私だけが知らなかったの?」松本若子は少し眉をひそめた。「誰も私にそんなこと、一度も言わなかったのに」

「それは修が言わないようにって頼ん
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