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第159話

松本若子は午後まで待った。実際、彼女は早く離婚の手続きを済ませたかったが、そろそろ修の酔いも覚めているだろうと思っていた。

それで再び携帯を手に取り、修に電話をかけた。

しかし、相手は電源が切られている状態だった。

若子は少し苛立ちを覚えた。

まさか村上允が修に、離婚のことを伝えていないのだろうか?このタイミングでまさか携帯を切るなんて。

そこで彼女は執事に助けを求めた。執事は電話帳を持っており、村上允の電話番号を探してくれた。彼女はその番号にかけた。

電話が繋がり、村上允が出た。「もしもし」

若子は口を開いた。「私、松本若子」

「若子、何かあったのか?」

「修はまだあなたのところにいるの?」

「彼は......彼はもうここにはいない」

「彼の携帯が繋がらないんだけど、どこかに行ったなら、どこに行ったか知ってる?」

「彼は......」

「村上允、正直に言ってくれない?」

「彼は......」

村上允の躊躇する声を聞き、若子は不安を感じ始めた。「どうしたの?何があったの?早く言って!」

「彼は病院にいるんだ」

若子は驚いて声をあげた。「病院?何があったの?また事故にあったの?」

あの男、まさかまた飲酒運転でもしたんじゃないか?

「いや、事故じゃないよ。彼は部屋に長い間閉じこもっていて、昼になっても動かないから、ドアをこじ開けたら倒れていたんだ。すぐに病院に連れて行ったんだけど、医者が言うには胃出血だって」

「修はどの病院にいるの?すぐ教えて!」

......

若子は急いで病院に駆けつけ、沈霆修の病室の前で行ったり来たりしている村上允を見つけた。

「村上允!」若子は慌てて駆け寄り、焦った様子で尋ねた。「修はどうなってるの?」

村上允は答えた。「彼は病室で急救を受けたけど、今はまだ眠っている」

「どうして胃出血なんて......お酒のせい?」

「酒が原因の一つではあるけど......」村上允は頭をかきながら言った。

「でも何?ちゃんと言ってよ!」

「まさか、彼がずっと胃薬を飲んでたこと知らなかったのか?」

......

若子は以前、村上允が薬を買っているのを見かけたことを思い出した。

その時、彼は修のために薬を買っていると言っていたが、

修自身は彼女に「そんなに長くは飲んでない」と説明していた。

「つまり
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