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第106話

すぐに夜がやってきた。藤沢修はシャワーを浴び終え、早めに寝ようと思いベッドに横になった。

だが、何度も寝返りを打つものの、どうしても眠ることができなかった。

彼はベッドから降り、部屋を出て松本若子の部屋の前に向かった。そしてドアを軽くノックした。

しかし、しばらく待っても中から返事はなかった。

もう一度ノックしようとしたが、彼らの今の関係を考えると、何となくノックできなかった。仮に彼女がドアを開けたとしても、特に話すことはなさそうだった。ただ、無意識に彼女の顔を見たくなっただけだった。

結局、彼は再び自分の部屋に戻った。

ベッドに座ったその瞬間、突然、部屋のドアがノックされた。

ドアには鍵がかかっていなかったので、相手はそのまま入れるはずだったが、彼はすぐに立ち上がってドアを開けに向かった。なぜなら、そのノックのリズムが松本若子だとわかったからだ。

松本若子の手はまだ空中に浮かんでおり、もう一度ノックしようとしていたが、藤沢修がすでにドアを開けたことに気づき、少し恥ずかしそうに口元を引きつらせ、彼にスマホを差し出した。

スマホの画面には、松本若子とおばあちゃんのおばあちゃんとのラインのチャット履歴が表示されていた。

【若子、ビデオ通話をしようかしら。おばあちゃん、二人の顔が見たいわ】

松本若子の返信:【わかりました。少し待ってくださいね。修は部屋にいるし、私は下で水を飲んでいるから、これから上に行きます】

藤沢修は全てを理解し、彼女に部屋に入るように促した。

ドアが閉まると、二人はベッドに座った。

松本若子は少し気まずそうに布団を引き寄せ、自分にかけた。

「ごめんなさい、邪魔してしまって。でも、おばあちゃんがどうしても二人の顔を見たいって言うから......」

「構わないよ」藤沢修は彼女の言葉を遮った。「お前が俺に遠慮することない。早くビデオをかけよう」

松本若子はうなずき、彼に注意を促した。「それじゃ、少し笑顔を見せてね」

藤沢修は「うん」とだけ答えた。

松本若子はおばあちゃんにビデオ通話を送った。

すぐに、石田華がそれに応じた。彼女はベッドに座り、眼鏡をかけていた。「若子、私が見えてるかい?」

石田華は手を挙げ、カメラの前で振って見せた。

松本若子は「おばあちゃん、見えてるよ。私たちのことも見えますか?」と答えた。

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