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第6話

庭の外にいた侍衛の瀬戸茂は、物音がしたので駆けつけた。景河や景山を見た突端、彼はなんの迷いもせずに刀を抜いた。

茂は元々私と綾夏が路頭で拾った乞食の若造だった。飯をやる口実として、布地の店で働かせてもらった。

けど、その一年半で、彼は凄まじい武芸を披露してくれた。

そのため、私と綾夏は一層のことに彼を側近の侍衛にした。

茂は眉を顰めて、景山と景河に刀を向けた。

「そなたたち、何者じゃ?主様を離せ!」

景河は鼻で笑った。

「人間如きに、名乗る名がない」

茂も駄弁が嫌いなもので、彼らに刀を刺した。

景山は一撃で、かかってきた茂を飛ばした。

倒れた茂は、血を吐き出した。

私は心配で、思わず声に出た。

「茂!」

景山は私の手首を取った。彼の口振りには、何となく怒りが潜んでいた。

「和葉はその男が心配か」

私は冷たくを景山を一瞥した。

「当たり前じゃろう?瀬戸茂は我の侍衛じゃ。心配して当然じゃ」

手首を締めていた力がどんどん強くなっていくを感じて、私は声をあげるのを忍耐強く我慢した。

一方で景山は怒りのあまりにかも知れぬ、笑い出したが、その笑い方は実に気味悪かった。

「そうか。月島和葉、そなたはなお余の王妃じゃ!それだかはくれぐれもお忘れないように」

そう言って、彼はもう一度術で、茂に一撃を打った。

気を失った茂を見て、私は必死に景山の手を握った。

「茂を見逃してやってくれ!」

景山は伏し目で私のほうを見た。

「余と戻れば、其奴は死なないのじゃ」

私は力を少し入れて唇を噛んで、話そうとした突端、側にいた綾夏は再び逃げようとして、景河に気絶させた。

綾夏のところへ行こうとした私に、景山は意味深な口調でそう言った。

「余と戻ろう」

「さもなくば、そなたはこの一生、再び綾夏殿に会うことはなくなりましょう」

体中の力を完全に抜かれたように、私は項垂れて、景山に私の手を握らせた。

前に歩いていた景山の後ろ姿を見ながら、私は苦笑した。

「景山殿、そなたは何故かようなことを?」

「景山殿にとっての我は、身代わりにすぎまい。烏森藍璃殿こそが、日夜恋しがっておるお方なのでは?」

「なれど、何故我にさように拘っておるのじゃ?」

景山は足を止めて、少々間をおいた。そして、振り向いた彼は、横から私はお姫抱っこで持ち上げた。

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