共有

第5話

腹一杯食べて、遊び三昧の日々が一年半ぐらい続いたそんなある日のことだった。私は久ぶりにあの夢を見た。

夢の中での私と綾夏は、まだまだ戦塵で蓮華の村まで流浪してきた二人の孤児だった。

幼い頃から、私と一緒に育てられた綾夏は、私と血の繋がりのある身内ではなかったが、まるで家族のよう存在だ。

私は彼女を連れて、ここまで逃げてきて、最後には村の前で気を失って、倒れていた。

再び目を覚ましたら、私たちは村の者たちみんなに世話をしてもいながら大人になった月島綾夏と月島和葉となった。

幸せで平和な暮らしは、私と綾夏が’十九歳になる日まで、続いていた。

その時、山に薬狩りをしに行った村人が、体中傷だらけの女子を拾ってきた。

その女子と言うのは、紛れもなく烏森藍璃だった。

村人たちは、珍しい薬や体の栄養になれるものを無数に潰して、やっと彼女を蘇った。そして、死を逃れた彼女に衣食住を与え、暖かく接してあげた。

けど、そんな村人に対す彼女の恩返しと言うのが、こんな一言だった。

「卑しきものは、天女の落ちぶれた姿を見てはならぬ」

そんな一言のために、村人の全ては一夜で変死した。

全部合わせて、合計五十八人の命だった。

私と綾夏は、村での最年長者楓婆ちゃんに守られ、寝床の下に隠され、一命を取り留めた。

全てを整えた烏森は、合図を送って天界のものを引きつけた。

綾夏は外に出て、天界のものに全てを告げて正義を侍してもらおうとした。

私は必死と彼女を止めた。

そして、烏森の潤んだ声が耳元で響いた。

「この愚かな人間どもは実に不憫で忌々しいのう。妾の一命を助けた恩返しとして、金銀財宝を与えてやったものを、村人はそれだけで満足できず、妾から手持ちの全てを奪おうとした......」

「ここをさって、妾は今宵で村人に災いが下されるのを感知して、救えようと駆けつけたが、手遅れのようじゃった......」

寝床の下にあった隙間越しに、私は誰かが烏森を慰めたのを見た。

「思い煩うことはございませんぬ。人間の命数は定められたものじゃ。藍璃天女様が自分を責めることなどおりませんぬ」

「天女様からの金銀財宝をもらえただけで、もう至高の福なんじゃ」

もう一人の男の人も憤慨しながらこういった。

「欲張りしすぎた村人の報いじゃ」

「自業自得だけじゃ」

「この村人たちも所詮
ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status