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第9話

次は、あいつの番だ。

カフェは繁華街に位置していて、装飾もデラックスだった。これこそが大した金も持たないくせに、金持ちぶるあの男の一貫するやり方だ。

彼が今日のために、入念に自分を着飾ったことは見え見えだった。きちんとしたスーツにきちんとした髪形、唯一彼はここん最近、地獄の毎日を送ってきたことを示したのは、その凹みすぎた頬だった。

私が座ったやいなや、彼は即座に水を出してくれた。

「歳安はレモネードが苦手でしょう。お水を出してもらったの」

彼の触った湯呑みを見つめて、私は嫌悪を隠さずに、口を開いた。

「小早川潮、自殺したよ」

彼の表情は一瞬固まった。そして、顔をあげた彼は、声を震えながら言った。

「勝ったほうを許してくれるって、あの日言っただろう。あの女が死んだ今、勝ったのはこの僕だ。あいつが死ねば、僕を見逃してくれる。そうだろう?」

「小早川潮のこと、愛したことは?」

徹也はなんの躊躇もせずに、素早く頭を振って、焦った口振りで、私への忠誠心をアピールした。

「一時もなかった。あいつと一緒になったのは、一名門からの加勢を手に入れるためだけだった」

「僕の中で、唯一愛した女性は歳安だ。他の女とは、ただの遊びだけ、あいつらに惚れたことなど、一度もなかったんだ」

「歳安なら分かってくれるよね。僕の生い立ちは普通の下で、出世するのは自分の力しか頼れるものがないんだ」

「今回のことは僕が悪かった。人の見る目がなく、簡単に小早川潮の悪女めに騙された僕がいけなかったんだ。もう、許してくれよ。埋め合わせするチャンスを一度だけでいいから、くれないか」

彼は手を伸ばしてきて、私の手を握ろうとしたが、生理的に無理の私に交わされた。

かつて私をメロメロさせた彼の顔を見て、私は無性に虫唾が走った。

生い立ちがよくないから、当然のことに家柄のいい女性と結婚しようとした。

自分が生き延びるための彼の動力は、必死に、潮を地獄へ押し落とすことだ。

自分の息子を殺めたことを触れずに、肝心なことを避けて枝葉なことばかり採り上げて、私からやり直す機会を求めた。

彼のような、責任感もなく、弱虫で命惜しみ死を恐れる男は、心底から引いた。

私は眉を顰めながら、彼を見た。

「八年も愛し合っていたことを免じて、一度だけチャンスをやる」

「私の息子が生き返れば、見逃してや
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