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第8話

私が陰で糸を引いていたため、潮のことはあっという間に各新聞のトップニュースとして掲載された。

私の指示で雇われたちんぴらどもは、日夜問わずに、潮の家の外でカメラ持参で、彼女を待ち受けた。彼女が出かけるたび、彼らは迅速に飛び込んで、愛人殴りをストリーミングする。

何度も自宅の門前で、囲まれ殴りを食わせた潮は、とうとう我慢の限界で通報した。

警察がきてちんぴらどもを連れ去ったが、私は毒舌のおばさんや愛人に家庭を壊されて怨念の溜まった主婦を雇った。

このものたちは、チンピラの何倍よりも怖いのだ。

特にその主婦たちだ。潮の黒歴史を把握したあと、主婦たちも昼夜問わずにハラスメントするほど、彼女のことを憎んだ。潮を追い込むため、主婦たちは自腹までして、シフト制で彼女に嫌がらせ電話をした。

潮のことが暴かれて、続いて彼女の事務所で勤めていた愛人退治屋の連中のしでかした汚いことも、次から次へと世に知られていた。

彼女たちの依頼人は、連名で裁判所に行って、連名で潮を起訴した。

一夜にして、彼女の事務所は破産した。従業員も全員まとめて逮捕された。

潮には最初から対抗できる力など持っていなかった。散々悪事を働いてきた彼女の精神は、数日内で崩れた。

彼女はカメラを向けて、鼻水が垂れるまで大泣きして、私に会う機会を乞った。

私はカメラに映っていた痩せこけの潮をじっと見つめながら、数十層のビルの屋上を一ヶ所探すように命じた。

「今夜ここで会おうと小早川に伝えてくれ」

屋上で、潮はたった一人できて、私の向こう側に立っていた。

用心棒十数人に囲まれていた私は、皮肉に満ちた目つきで彼女を眺めていた。

「もう私に会いたがっているなんて、息子を殺したことで、償う覚悟ができたって理解してもいいよね?」

彼女は頭を左右に振って、どかんと私の前に跪いた。

「どうか許してくれだい」

私は足を踏み出して、彼女に近つけた。そして、彼女の髪を引っ張ったあと掴んで、険しい目つきで睨んだ。

「許してください?」

「病院での私も、こんなふうに泣きついたが、あなたは私を、私の息子を許してくれたか」

「生まれたばかりの息子を、よくも母親である私の目の前で殺してくれたな......」

私は正気を失い、吼えながら潮の髪を掴んだまま何度も引っ張った。彼女の痛みで歪んだ不細工な顔を見て、私は
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